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  • 山崎 美穂

ありがち治療院 3つのパターン

世間を見ると、アフターコロナといいつつ、コロナ以前に近い状態に戻り始めています。


道路の混雑具合、地下鉄の混雑、…テレワーク、時間差通勤なども続いている割に増えていて、


「のど元過ぎて…ってことになるんじゃないだろうなぁ…」と不安な気持ちにさせられます。


けれど、社会に残っていた古い体制みたいなものが、いくら~~か刷新されていってるという印象もあって、未来に希望を感じます。


で、その流れに気を良くして?いや、図に乗って?

治療院という特殊な「業界」について、考えてみたいと思います。



世間によくある治療院


1.たこ焼き治療院

2.マジック治療院

3.舞台治療院



1.たこ焼き治療院


たこ焼き屋さんのたこ焼き器は、複数の鉄板があり、1枚目の鉄板を加熱している間に、空いた2枚目にちゅちゅ~~っと具材を入れ加熱。1枚目に戻って表返して、パパパッと容器に入れて「はい、400円」


こっちを裏返しといて、こっちは表をやって…というたこ焼き屋方式の治療院を、「たこ焼き治療院」と呼ぶらしいです。


確かに。


うつ伏せからスタートして、鍼を刺しておいて、しばらく置いて、別のベッドに行って、また鍼を刺してしばらく置いて、元のベッドに戻って、鍼を抜いて、仰向けにして、鍼をして…


たこ焼きだ!



うまい言い回しもあったものです。たこ焼き治療院。


整骨院なんかも同じですね。


うつ伏せで電気をかけておいて、15分でカチッと切れて、「次は仰向けでお願いします~」と機械を外されて、仰向けになってまた機械をつけて15分…



あまりにもどこでも同じやり方でやっているので、このやり方に疑いを持つ人は、当の治療家にもほとんどいません。


「治療院ってこういうもの」だと思い込んでいます。


そして、これ以外の治療法がない、とも思っています。



しかし、このやり方の狙いは、治療家のマンパワーの節約です。


こういうやり方しかないとか、こういうやり方が正しいというものではありません。少なくとも学校で、こういうやり方でやれと習うことはありません。



鍼を刺して、しばらく置いておくのを、置鍼と言いますが、この置鍼と単刺(一回刺してすぐ抜く)との間に、どういう効果の差があるかは不明です。


置鍼時間も、どれくらい刺しておいておくのがいいと普遍的に定められるものではなく、個人差としか言いようがありません。



ただ、置鍼をすると、次第に鍼が抜けてきます。この抜けてくることをもって、「回復」ということは言えます。


しかし、本当に、回復を待って抜鍼しているかというと…してませんね。1時間なら1時間と定められた時間の中で、「半分くらいたったな~」とか、そういう理由で抜鍼しているだけです。


治療効果の裏付けがあるものではありません。


また、たこ焼き治療院では、複数の患者さんを同時に治療しているわけです。治療家の集中力の分散は否めません。




「誠心誠意向かい合って欲しい」とお望みの方はマンツーマンの治療院。


あらゆる面で「節約第一」であれば、たこ焼き治療院。


お悩みの深さで、治療院を変えた方がいいかもしれません。





2.マジック治療院


あなたが、深いお悩みを抱えておられれば、おられるほど、見えにくくなりますが、治療家は…たいていただの人間です。


「難病を何例も治した」と実績を謳う治療院があります。


しかし…お医者さんが、鍼灸に対して、「エビデンスがない」と冷たい視線を送るのは、まさにその点にあります。


治療法と、治療効果の間に、相関関係が見えないからです。


なぜこの治療法で、こういう効果が出たのか? なぜこの患者さんには効果が出たのに、同じ疾患のこの患者さんだと出なかったのか?


患者さんにとって、疾患は、「自分だけの」唯一無二のお悩みですが、医者にとっては、何百例の1つです。


つまり「難病を治した」のは、まぐれではないか?という疑いがあるのです。




一回、何かの病気を抱えた患者さんが来た。


そして、幸い治療に成功したと考えられる結果が出た。


だから、治療家は気を良くして、「難病××専門治療院!」と広告し、その広告につられて、たくさんの同じ難病の患者さんが100人来て、うち5人くらいは治った…としたら?


「治らない」とされていた難病を治したのは事実だとしても、100分の5です。


それでも治った人は嬉しいから、口コミも起こります。


95人の人もフェイドアウトします。


その100分の5の結果を持って、さらに宣伝して、あらたに500人来て…25人が治りました…率としては変わりません。


じゃあこの治療家の治療法に普遍性があるか? 再現性があるか?


だいぶ疑問です。




20分の1は治っているので、詐欺とは言えません。けれど間違いなく、誇大広告だと言われるでしょう。薬事法にもひっかかりますから、実際、メディアを使った広告や宣伝をするほど、治療家も愚かではないでしょう。




皆さんに気を付けていただきたいのは一点だけです。


「あの病気も、この病気も治した」という治療家は、何例治療して、何割治したかを確認してください。


「数字を見せずに」治したという話だけされた場合は、眉唾です。





3.舞台治療院


ここまでの文章で、鍼灸治療に効果がないと誤解させてなければいいのですが。


鍼灸治療には効果があります。その「仕組」が現在科学でははっきりしないとしても、仕組がわからないだけで、「統計」的に有意差が認められるものがあるからこそ、世界中で研究されています。


しかし医学というものは、生命と心という、両方「よくわかってないもの」を対象にしている分野だけに、何もかも解き明かすというのが難しい分野です。


薬を開発するとき、必ず偽薬と比較して効果があるかどうかというのを確かめますが、偽薬(プラシーボ)など、まさに生命と心が起こす、科学的に説明がつかない現象です。




右手に治療薬として期待されるAという、新しく開発された薬。


左手に、たんなる小麦粉?を丸めて、丸薬風にこしらえたものがあり、これをBとして、


何百人という数の患者さんに、自分が渡されたのが、AなのかBなのか分からないようにして服用してもらう。


Aを飲んで治った人が10名いて、しかしBを飲まされたのに治った人が10名いたとしたら、Aは治療薬として無効。母数によりますが。




つまり、治療の分野に関しては、患者さんの気の持ちようというのは、とても大きな影響力を持っているのです。


私を含め、大抵の人は、大げさな自己PRは性分的にできません。


しかし、患者さんにとっては、否定しようもなく、その大げさな治療家のPRは効果があるものです。




患者さんのためを真に思うなら、治療家は、自分を「すごい先生です」と自己演出した方がいいのですが、問題が、そういうのはテレもあれば、恥も知る普通の人間にはできないことで、そういうことが得意なのが、いわゆる「サイコパス」に分類される人だということです。


幕末の名医、シーボルト。


江戸時代、外国人である彼は、日本人の家に入ることを禁じられていました。


それもあって、彼はたびたび屋外で治療することがあったのですが、それが彼の名医という評判の原動力の一つになりました。


シーボルト以前にも、もちろんオランダ船に船医は乗っていました。日本に来た蘭医は彼だけではありません。


ただ、他の医者とシーボルトの違いは、彼にはスパイとして、日本の諸々の情報を手に入れるという目的がありました。


戸板に載せられた患者を路上で治療しながら、「これはまだ本国でも新しい治療法で…」といったPRもしたし、蘭学を学びたいという弟子を大勢抱えたことも、彼の医師としての評判を高める手段の一つでした。




目的では患者さんのためであれ、なんであれ、実際以上に自分を偉大な医者であるように見せるというのは、普通の人格ではありません。


患者さんは、自分の治療家に「神様のような」という枕詞をつけることが好きですが、本当に、それが良いことでしょうか?




ちなみにサイコパスの見分け方のコツですが、やはりこれも数字です。


サイコパスは、言葉の名手です。その言葉には多くの人が魅了されずにいられません。だから言葉ではなく、数字を見てください。


サイコパスには、名声欲の割に、なにかを成し遂げる責任感、持久力、忍耐に欠けるという特長があります。


公約を20個も掲げて、1つも達成していないなど、評判の割に実績が乏しいのです。




サイコパスが多い職業は、政治家、軍人、警察官、起業家、CEO、ジャーナリスト、コック。


本人の「名前が出る」仕事を選ぶことが多いようです。有名なのに、何をしている人なのかよく分からない人は、サイコパスかもしれません。




大事なことなのでもう一度言いますが、サイコパスには、なにかを成し遂げる責任感、持久力、忍耐に欠けるという特長があります。


ちなみに医療というのは、華やかどころか、めちゃくちゃ根気がいる実務的なコツコツ仕事です。


治療院で、舞台役者のようにふるまう先生は、選ばないほうが良いかもしれません。


『白い巨塔』の教授回診の場面を思い浮かべてもらえれば、大体そのイメージです。





4.終わりに。


以上は仮説であり、筆者の謬見によるところが多いので、信用しないでください。


決して決して、どこかの偉い先生の悪口などではありません。



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