検索
  • 山崎 美穂

ストレスを背負ってるのは心だけじゃなく…

最終更新: 5月22日

誰でもそうだと思うんですが、目に見えるお腹のことは気になっても、自分の背中で気になるのは、よっぽど痛かったときだけだと思います。


つまり、肩がこらなければ、肩のことなんか忘れているという意味です。


ところで、ストレスを背負っている部位を、私は患者さんにこういう風に説明します。


「ストレスは、身体の四か所で受けているんですよ」と。


【目次】

1、ストレスは心だけでなく、身体でも引き受けている。

2、では、身体のどこで引き受けているのか?



1、ストレスは心だけでなく、身体でも引き受けている。


ストレスというのは、目に見えないものと相場が決まっています。


しかし、ストレスという言葉が、語源的には、工学における「金属疲労」の話が、心理学に転用されたものだということは重要です。


鉄製の針金をこねくりまわしていたら、ぽっきり折れますが、これがストレスです。


一回一回は、さほど強い力がかかるわけではないけれど、繰り返し、または長期間、力が加えられると、硬い金属すらぽっきり折れる。


同様に、心も、繰り返し、または長期間、何らかの圧を加えられると、ぽっきり折れることがある。


心に加わる力は、目に見えないし、心そのものも目には見えないけれど、ぽっきり折れたからには、何らかの原因があるだろう…探してみたら、「ああ、こういうことか」と納得できる原因がある。


その原因を称して「ストレス」と呼ぶ、と。




目には見えない心というものですが、実は、心の緊張は必ず身体に現れます。


ポーカーのプレイヤーは、ポーカーフェイスといって、表情に何も表しませんが、見えないところにはびっしり冷や汗をかいている(かもしれません)


ストレスが、身体に与える影響としか思えないことが、たくさんあり、その一つは肩こりや腰痛として現れます。


心の居場所と考えられる脳。脳から直接つながる神経…脊椎。


神経の種類としての、運動神経や、感覚神経、自律神経。


その神経を介して、継続的に緊張状態にある筋肉。


自律神経に支配される内臓。そこから便秘や下痢。


同じく自律神経に支配される、皮膚…皮膚が管轄する、発汗。




特に皆さんに今回知っていただきたいのが、筋肉の性質。


特に「強縮」という現象について知っていただきたいと思います。




筋肉は、神経からの電気刺激で「収縮」することを、皆さんは知っているかもしれません。


EMSという筋肉に電気信号を送る機械があれば、腹筋がシックスパックに…なんていう広告を見たことがありますか?


まぁ、どんな性能の良いEMSを使っても、腹筋がぱっくり割れるということはありませんので、ダマされないようにしてください。腹筋は最初っからシックスパックに割れています。割れてないように「見える」のは、脂肪が多いからなので、腹筋を割るにはダイエットしかないわけです。


という話は余談。




筋肉…その中でも運動のために働く筋肉は、骨格筋と呼ばれます。


骨格筋にEMSのように、電気信号を一回ピッと送ると、筋肉は一回収縮します。これを、「単縮」または「攣縮」と呼びます。


ちなみにこの反応は、電気信号が流れてから、たった0.01秒後に生じます。


中枢神経が「縮め!」と信号を送ったら、それだけ即座に骨格筋は反応するわけです。


これ以上このタイムが縮むことはありません。0.00001秒とかにはなりません。生物学的な限界というやつです。


そしてその収縮の継続時間も短くて、0.1秒とかです。


じゃあずっと縮めていたい場合はどうするの?って思いますよね。


お相撲さんががっぷり四つに組みあって、0.1秒で勝負が決まっちゃ面白くない。




「加重」という現象があります。


「ひとつの刺激による効果が消えない内に、次の刺激が投与された場合、効果が「加重」して、より大きな効果が得られる」

ようは、収縮の長さも、強さも、上乗せできるわけです。


同じ電気刺激を頻回投与すると、この「加重」が起こるので、「より大きな」収縮力が得られます。


ただし、無限に上乗せできるわけではありません。


そこにも生物学的な限界があります。




電気刺激ピッ…筋肉が一回収縮(単縮)


電気刺激ピッ・ピッ・ピッ・ピッ…筋肉がぐいーん!と長く強く収縮(強縮)




あなたの肩でそれをイメージしてもらうと、


上司にちくりと嫌なことを言われた…肩に緊張感が生まれる。

その上司が、傍にずっといる…肩の筋肉が緊張しっぱなし。


じゃあ、上司がどっか別の部屋に行ったら、緊張がすぐ取れるのか?


…取れません。


筋肉は、緊張するということについては、得意なのです。


でも逆の、力を抜くということを、自発的にできるかというとできないのです。


入った力が、自然に抜けるのを待つしかない。


ちょっと力が抜けかけたときにまた、ひょっこり緊張の原因である上司が戻ってきたら、また元の木阿弥。


ストレスは、心だけが受けているのではなく、身体で受けている。


しかも、身体の方が長く後を引く形で、引き付けている、と言えるのです。




2、では、身体のどこで引き受けているのか?


筋肉でストレスを引き受けているだけではなく、そのもとは神経だというところがポイントです。


自律神経失調症という病気があります。


神経も当然、ストレスを引き受けているのです。


中学校の技術の時間や、理科の時間に、金属に電気を流したことがありますか?


電気ブレーカーというものがありますね。


同じ形のスイッチが複数並んでいるのが安全ブレーカーで、各部屋のコンセントへ続く回路ごとに取り付けられている装置です。特定の回路で電気器具の故障によるショートが起きたり、許容電流を超えた電流が流れたりしたときに電気供給を停止させます。その役割は10A~30Aの小電流回路を保護することにあります。

電気ブレーカーというのは、精密機械なんかに大きすぎる電流が流れないように存在します。


電源があって、守りたい精密機械があり、その間に回線を引っ張ってるわけですが、その回線の一部をわざと脆いものにしています。


強い電流が流れると、その脆いところがぽろっと壊れて落ちるから、精密機械に強すぎる電流が流れることはない…というのが、ブレーカーの仕組みです。




人間の身体は電気信号によって動きます。神経系は電気回路です。ブレーカーのような仕組みが備わっています。


本当に脳や臓器といった、重要な精密機械に支障が出ないように、その手前には、必ず脆いブレーカーがあるのです。




人間は、動物の中では、かなり大きい方です。


電気ウナギ並みとはいかないまでも、かなり大きな電気が身体の中を流れています。


私たちの身体に起こる不調は、ブレーカーが落ちているのです。


脳の手前には、ブレーカーが複数あります。


特に喉と首、そして鎖骨、胸骨は、そのブレーカーになりやすいところです。




梅核気、または英語でストレスボールと呼ばれる「症状」があります。


実際は何もないのに、喉に何か、梅の種のようなものが詰まったような感覚があり、食べ物が呑み込めなくなったり、声が出にくくなったりします。


私はこれにはなったことがありませんが、鍼灸学校のクラスメートがなりました。


私が経験があるのは、肋間神経痛です。


別に何もないのに、気が付いたら、胸をどんどん叩いているのです。病気ではなく、ただなんとなく痛い。肋骨周辺は細かい神経が多く、彼らがブレーカーの役を引き受けてしまっているのですね。




私が患者さんの身体を観察していて、とくにストレスを引き受けているなーと感じるのは、


首肩コリ、腰痛以外だと、


喉、鎖骨・胸骨、みぞおち、鼠径部です。患者さんには、大ざっぱに4か所と説明しています。


みぞおちというか、肋骨の下、肋骨と腹の境目ですが、東洋医学では、この部位の「つまり感」を表す用語があります。


「胸脇苦満」(きょうきょうくまん)といい、肝…つまりストレスの病気だととらえます。




鼠径部は、これは私の経験から、詰まっている人が多いです。


東洋医学の診察でも、この部分はよく診ます。


なんの病気だとかいうのでなく、下半身と上半身の気の流れの滞りというとらえ方をします。


実際、押してみると、異様な痛がり方をする方がいます。


大抵身体のトラブルの初期は、「触らなかったら痛くないけど、ちょっと刺激すると異様に痛い」ところが多いです。


ブレーカーに例えると、すでに過熱していて、落ちる直前です。


こういう状態は、その気で探さない限り、なかなか見つかりませんが、もし見つけられて、適切にケアできれば、トラブルの手前で解決できます。


ポイントは、喉、鎖骨・胸骨、みぞおち、鼠径部です。


探してみてください。





最後に。


私はよく、「検査は病院に行ってください」と言いますが、検査力に関しては、病院のMRIやレントゲン、血液検査に勝るものはありません。


でも、それは病気の発見という意味です。


ここに書いたような、ブレーカーの異常は、病気の発症の手前の話です。


ようは未病という話です。


病院の検査では出ません。


出ても、「まぁ、経過観察ですね」と言われます。




逆に言えば、こういった、ブレーカーが落ちる手前の異常を発見し、治療をするのが、私たち治療家の仕事です。


治療院は、病気になってから来るところではないんです。


健康から白。病気が黒だとしたら、その間にある限りないグレーゾーン。


そこで仕事をするメインプレイヤーが鍼灸師です。


(黒だったのが、白に戻るとき、リハビリや治療補助でも役に立ちます)




あなたがこの記事を興味深く読んだなら、一度ご来院ください。


グレーの濃さを確認してみましょう。


17回の閲覧

© 2016 はりきゅう和 @大阪市中央区 キャンセルポリシー プライバシーポリシー