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「そこ!」というコリを狙える 大阪の鍼灸院 

副作用とリスク

  • 執筆者の写真: やまさき みほ
    やまさき みほ
  • 10月18日
  • 読了時間: 5分

人間、危険なものは避けたい。


面倒なことはしたくない。


頑張りたくもないし、だれかが楽に欲しいものを手に入れたという話を聞けば、すわ「自分も」と手を突っ込みたくなる。




これは生物として至極まっとうな話です。


でも、楽して手に入れられるものは、大したもんじゃないというのも事実。


手に入るものだけ手に入れていたら、人生が行き詰り始めるというのも、体験的に分かってる話です。




振られたくないからって、コクらなかったら、カップルにはなれないし、

不採用が怖くて、就活しなかったら、無職。


しあわせに生きるコツは、うまいこと、リスクとリターンのバランスをとること…だともいいますよね。



リスクとリターンについては、もう十分ご存じでしょうが、では医療分野の専門用語である、副作用ってなんでしょう?



副作用もリスクも「悪いこと」「避けたいこと」「イヤなこと」と一括りにされがちですが、実はこの二つはまったく別の性質を持っています。






「副作用」は、想定内のマイナス


まず、副作用。これは「効果のある治療には必ずつきもの」の現象です。


薬でも、鍼灸でも、サプリでも。何かに作用があるということは、その作用が及ぶ範囲のどこかに“余波”があるということ。


たとえば、解熱剤で熱が下がる。でもその仕組みの一部が胃酸の分泌にも影響する。だから、胃が荒れる。これが副作用です。




つまり副作用とは、プラスの結果を生むために起こりうる、想定内のマイナス。「確実に起こる可能性がある」「ある程度予測できる」ものです。医師や薬剤師が「この薬は胃が荒れやすい」と説明できるのは、そのためです。





「リスク」は、想定外のマイナス


ではリスクとは何か。リスクとは「分からない」ということ。


副作用が“分かっているマイナス”なのに対して、リスクは“分からないマイナス”です。


たとえば、手術での合併症。どれだけ慎重に行っても、「まったく起こらない」とは言い切れない。確率で言えば1%未満かもしれませんが、それが“あなた”に起こるかどうかは誰にもわからない。これがリスクです。



美容医療で言えば、ヒアルロン酸注射の「血管塞栓」や、レーザー治療による「色素沈着」も同じ。医学的に“ありうる”とされるが、起こるかどうかは分からない。この“わからなさ”こそが、リスクという言葉の本質なのです。





「ボラティリティ」と「リスク」の違い


少し専門的な話になりますが、リスクの中には「結果の幅(=ボラティリティ)」という考え方もあります。


たとえば、投資で「利益50万円〜損失30万円の間」という“幅”がある。この場合、結果の範囲はわかっている。これは“リスク”ではなく、“変動の幅”=ボラティリティです。


しかし、もし投資先の会社が倒産したり、詐欺だったりしたら?損失がどこまで広がるか分からない。ここで初めて、それは“リスク”になります。



同じように、薬で「副作用の範囲がある」のはボラティリティ。でも、「未知の反応を起こす」可能性はリスク。“予想できるかどうか”が、両者を分ける線なのです。





「副作用にもリスクがある」


ここでややこしいのが、「副作用にもリスクがある」という事実です。


副作用は“ある程度分かっているマイナス”ですが、その発生頻度や重症度には個人差があります。つまり、副作用そのものの“出方”にリスクが潜んでいる。


「眠気が出る人もいる」「出ない人もいる」「強く出る人もいれば、軽い人もいる」この“個体差”の部分は、リスク領域です。


ですから、「副作用=安全に説明できるもの」と思い込みすぎるのも危険です。リスクと副作用は、重なり合いながら存在しているのです。





東洋医学は「プラスとマイナスのバランス」で考える


東洋医学では、「大きなプラスには大きなマイナスが伴う」と考えます。つまり、強い薬はよく効くが、それだけ副作用も強い。


だからこそ、古代の薬学書には「上薬」「中薬」「下薬」という区分がありました。

  • 上薬:ゆるやかに効き、長く使える。副作用は少ない。

  • 中薬:ある程度効き目があり、短期で使う。

  • 下薬:即効性はあるが、強烈な副作用を持つ。



「効けばいい」ではなく、「どの強さでどれくらい効かせるか」を考えるのが東洋医学の発想です。


これは、現代にも通じる知恵です。


たとえば、痛み止めを常用するより、体の使い方を整えて痛みの原因を減らす。サプリを増やすより、食事や睡眠のバランスを見直す。“強い効果”より“バランスの回復”を重視するアプローチこそ、上薬の思想に近いといえます。





最善の防御


副作用もリスクも、避けることはできません。


でも、理解すれば怖くなくなります。


副作用は「効果の裏返し」リスクは「未知のゆらぎ」


どちらもゼロにはできませんが、「知っておく」ことで、備えたり、対処したりすることはできるのです。


東洋医学の考え方を借りるなら、「強すぎる薬を避け、バランスの取れたケアを選ぶ」こと。それが副作用を最小限にし、リスクをコントロールする一番の方法です。





まとめ


  • 副作用=想定内のマイナス(効果の裏返し)

  • リスク=想定外のマイナス(不確実性)

  • ボラティリティ=結果の幅(予測できる範囲)


この三つを正しく区別すれば、「怖いから避ける」ではなく、「理解して選ぶ」ことができるようになります。


リスクゼロの医療も、副作用ゼロの治療も存在しません。けれど、“知らないまま選ぶ”リスクこそ、いちばん避けるべきものです。



-------------------------------------------------- 発行者 はりきゅう和 やまさき みほ 〒540-0004 大阪市中央区玉造2-16-18

メール 89nagomi@gmail.com



 
 
 

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