整骨院と鍼灸院、違いは“保険”です
- やまさき みほ
- 10月10日
- 読了時間: 4分
最近は聞かれなくなりましたが、以前はよく「鍼灸院はなんで保険きかんの?」と聞かれてました。(整体の先生も、「保険使えんの?」って訊かれてるんやろか?)
制度をつくってる側じゃないので、なんで保険使えるようにしなかったのかはわからんのですが、私は保険が使えなくてホッとしてます。
理由は、整骨院の先生やってる同級生たちが、毎月毎月、レセプトが大変そうだったから…。

メリット。
半面、保険が使えるようになると、良い面もあるだろなーと思うんです。
1.集客が楽。価格競争で負けない安さは、集客に+に働くだろうなぁと思います。患者さん側からすると、一回500円で治療が受けられて、この物価高の時代、救世主みたいに感じられるかも!
2.整骨院の運営を真似っこできる。
大きなテナントで、従業員をたくさんいれて、マッサージや電気治療器中心で治療を組み立て、鍼はちょこちょこ…というやり方です。
鍼灸師は普段は寝ていて、「先生、お願いします!」と部下に呼ばれたとき出てきて、ポイントポイントで仕事をする‥‥治療家側からすると、こんな楽な話はないですね。
逆にデメリット。
1.みっちり診てもらえない患者さん側からすると、今までみたいな、一時間みっちり、丁寧な治療は受けられなくなります。
自分のベッドの周囲にいつも誰かいる状態になるから、周りのことが気になって、「先生に話しかけづらい」と感じる人もいるかもしれません。
2.逆に高くなるかも?保険の場合、「対象疾患」というのが決まっているので、それ以外の疾患は診てもらえなくなるかも。対象疾患以外のお悩みだと、「自由診療」ってことで、逆に値段が高くなるかもしれません。
※ 鍼灸の保険対象疾患って、めっちゃ限られてます。五十肩とか、頚肩腕症候群とか。しかも病院でいちいち診断書をもらわなきゃいけません。
まとめると。
「整骨院の安さ」と「鍼灸院の丁寧さ」「保険制度」って、方向性がバラバラなんです。
保険:安さと回転重視…源泉は「社会保険料」(値上がりすると困る)
整骨院:気軽さ重視
鍼灸院:じっくり一人に向き合う
みっちり診てもらえて、なおかつ保険が効く…ってことができるなら、とっくに病院がすでにそうなってるはず。そうなってないのは、そうならないだけの理由がどっかにあるんでしょうね。
1. 制度の枠組みの問題
保険の仕組みが「標準化された医療行為」前提だから。 → 保険が効くのは「誰がやっても同じ手順で、同じ結果が出るもの」に限られてます。 → 鍼灸や整体は「個人技」なので標準化が難しい。
対象疾患が限定されている。 → 鍼灸で保険が効くのは「神経痛」「リウマチ」「頸腕症候群」などごく一部。「頭痛」「不眠」「胃腸不良」など、実際に患者さんが困ってる多くの症状は対象外。
2. 経営上の問題
保険点数が低い → 1回あたり数百円〜千円程度しか算定できない。 → 丁寧に1時間かけたら完全に赤字。 → だから「短時間×回転数」で回すしかなくなる。
「みっちり一人に時間をかける」と、保険制度の収支バランスが崩壊する。
それは鍼灸院が保険を使えるようになっても、設計が同じだし、財源は社会保険料から出てるわけで、同じ結果になる。
ちなみに
ちなみに私が料金を安くできない原因ってのもあるんですが、興味あります?
‥‥それはね、体力的にちぬるからです。
アホみたいな話やと思って、ななめ読みしてほしいんですが、マジで邪気ってのがあって、重症の患者さん治療すると、しばしばそれにぶち当たるんですね。
一人終わったらぶっ倒れるってのが、開業初期はしょっちゅうありました。最近はだいぶ対処できるようになったんですけど。
安くたくさん供給できるサービスなら、それは国か企業がとっくにやってる。
国や企業ができない隙間を埋めるのが個人の治療院。
役割分担です。



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