「治療後、鍼の痕がポツポツと赤い点々になって残ったんですが」という報告を、たまに聞きます。出る人もいれば、出ない人もいます。出なかったのに出るようになる人も、出ていたのに出なくなる人もいます。東洋医学では「体内にたまった熱」であると解釈します。治療を繰り返すごとに出なくなってきますが、それはたまっていた熱が排出できたからです。
身体は、大きく深層と表層に分かれます。
皮膚は最も表です。
身体の深部に毒が溜まった場合、外に出すのは大変至難の業です。尿や便で出ればいいのですが、あまり排出手段にバリエーションがありません。
老廃物が血液に載って、肝臓や腎臓で無毒化されて、排出…というのは、頭で考えるよりかなり難易度が高いことです。100%無毒化できているとしたら、ガンを恐れずに済むはずですから、肝臓や腎臓経由で、便や尿となって排出されるのは、50%くらいのものではないでしょうか。
ところが、皮膚表面に近いところにある毒は、もう一つ別の排出されるルートがあります。それは汗です。
深部の毒には、ウンコになって出る以外のルートがないのに、皮膚に近いところの毒は、汗という毒だしの手段があるということです。
では、深部と皮膚を一時的に繋いだらどうなりますか?
身体はなんとかして、そのチャンスに毒を出そうとすると思いませんか?
身体から老廃物が出る方法
汗
尿
便
呼吸
代謝(古い皮膚が剥がれるなど)
一番身体にとって負担がないのは、呼吸と汗です。
たとえば頭部に溜まった毒…老廃物は、軽いものは汗、フケという形で排出されますが、出にくいものは「むくみ」という形で溜まって、留まり続けます。「脳に影響を与えないように」身体が精いっぱい頑張った結果むくみという形をとったのですが、これが身体の精一杯です。
これを追い出すには、人の手が必要です。
内臓に溜まった老廃物は中々排出できません。
便や尿で出せるのはほんの一部です。肝臓や膵臓といった臓器にたまったものは時間がかかります。できるだけ無毒化しようと頑張りますが、それでも身体の内部に溜まります。
鍼を刺すと身体の深部と表面とが、瞬間的に繋がります。
そのときに出血という形で出ることもありますし、ミクロン単位の傷が残りますから、そこからあふれ出ることもあります。
赤いポツポツは、身体の中に溜まった熱が、鍼が抜けた穴から表面に脱出しているさまだと考えられるのです。
体の中に溜まった熱は恐ろしい
身体の深部から、表面に出てくることを、東洋医学ではとても良いことだと捉えています。とくに内部にたまったままでいる熱は、いずれ湿気と結びついてガン化すると考えられているからです。
身体の表面に近いところに溜まった熱なら、汗でとっくに排出されています。
鍼灸治療を受けると、免疫力があがるとか、血液検査の数値が良くなるという話はよくありますが、それは皮膚の下まで刺す鍼、深部まで浸透する熱(お灸)だから起こる生体反応です。
皮膚の下へのアプローチ…整体などの他の治療法と、鍼灸の大きな違いです。
もちろん鍼灸で、ガンが治るとか、ガンを予防できるというものではありません。
しかし、鍼灸がなぜ身体のメンテナンスとして有効か?
それは身体の深部に溜まった老廃物に、外に出るチャンスを与えるからだということは言えます。
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