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  • 山崎 美穂

鍼灸にできること

最終更新: 4月10日

「ケガ」と「痛み」と「治癒」の関係

鍼灸師は、あなたの健康の経営コンサルタントです。


■痛みと治癒のメカニズムを知る。 ◆痛みとは? ●身体を治す、病気が治る、ケガが治るとは、具体的に? 身体を治す主役は、薬ではなく白血球、赤血球、血小板といった血球です。目に見えないほど小さな血球は、主に血流によって、全身を移動します。 血管は“血球の高速道路” しかし人体は血球たちにとって“巨大な迷宮” そこでナビゲーターが必要です。このナビの役割をするのが「痛み」なのです。 ●なぜ痛いの? 「痛み」とは? 「痛み」は「発痛物質」という“物質”です。血球たちを集めるために必要な「ナビ」の役割をします。「痛み」を消すには、その物質が流出せず滞っている部位の疎通(つまり血行)を回復させ、洗い流してしまえばよいだけです。 ●「痛み」と「傷」の関係 ケガ、体調不良は全てカラダの「傷」であり、それは“細胞が壊れたもの”です。 血行を良くして、痛みを発する物質を洗い流しても、「傷」があるうちは、発痛物質が次々に作られるため、痛みはなくなりません。

「傷を治す力」とは「壊れた細胞を直すこと」ですが、壊れた細胞を整えていくのは、白血球の仕事です。白血球が壊れた細胞を食べてくれます。やがて細胞は分裂し、治っていく、というのが傷の治るメカニズム。 これは「痛み」があるからこそ、血球たちがそこを目的地とすることができるので、より解決が早くなります。 我慢のしすぎもよくはありませんが、薬によって「痛み」を安易に消してしまうのはNO!です。 痛いからと言って痛み止めを使うと、白血球たちの作業の手を止めてしまうことになるからです。痛み止めは治療薬ではなく、痛みと引き換えに、治りを遅らせるものであると言えます。 ●慢性痛について 長い間、痛みを抱える慢性痛というものもあります。なぜ痛いのでしょうか。 傷が深い場合、古傷(瘢痕)となって体内に残ります。痛みは治まった、血も出ていない、でもこれは発痛物質が、ある程度取り除かれたというだけなのです。 食事、睡眠に気を付け、適切な運動をしながら行うのが本当の治療です。眠らない、食事もとらないでは、治るケガはありません。私たちの身体は食事・睡眠・運動を全部やって、さらに治療を受けて、ようやく完治します。この工程で手抜きをしてしまうと傷が残り、それが慢性痛の原因となるのです。 治るのと、痛みが消えるのとは、まったく別の話。壊れたところを作り直すのですから、時間がかかって当たり前なのです。 ●痛みは火山と同じ 痛みとの付き合いには注意が必要です。どこかが悪い時、痛いからといって痛み止めを使ってしまえば、痛みは止まってもその悪いところは治りきらないまま、ずっと体内に保存されてしまいます。そしてまた、何かのはずみで痛み出すでしょう。火山でマグマが溜まったら炎が噴き出すように、何度でも何度でも。 ◆治癒とは? ●痛みが消えた=治った、ではない! 痛みが消えたらまずは安心しますね。そこで治ったものと思ってしまうと思います。 痛みはときに一瞬で消えることもありますが、それと傷が治るということは別の話。かすり傷でも傷がきれいに消えてしまうまでは、何日もかかっているでしょう? 身体の補修にかかる時間は、年齢・性別・健康状態によって違うとはいえ、大まかな目安が分かっています。 骨 成人なら2年以上 皮膚 二十歳で40日 筋膜が損傷する激しいケガ  6週間以上 筋膜が損傷しない程度のケガ  数日から数週間 痛みが消えても、治るまではかなりタイムラグがあることがお分かりいただけると思います。

皮膚の下に隠れた内側の傷は目に見えませんが、見えないからと言って、消えるわけではありません。同様に痛みのある、なしと、傷のある、なしも関係ないのです。 「疲労骨折」は、皮膚に傷ができないので、まったく目には見えませんが、骨折です。「圧迫骨折」「脊柱管狭窄症」、いずれもレントゲンで見ないとわかりませんが、皮膚の下では、しっかり骨が折れています。ときとして痛みもなく骨が折れているということが、あるのです。 皆さん、内臓が悪ければ、内臓が痛むんだろうと思っていませんか? 肝臓は沈黙の臓器とあだ名がつくほど、痛みが出るまで時間がかかります。筋肉にも痛覚はありません。痛覚があっても全体にあるとは限りません。全身まんべんなく「痛覚」があるというのが、そもそも誤解です。 人体のうち、痛覚があるのは、主に「膜」と呼ばれるものです。皮膚、粘膜、筋膜、骨膜、脳にもたくさん膜があります・・・そういった膜に痛覚はありますが、骨そのもの、筋肉そのものに痛覚があるわけではないのです。一々痛みを感じていたら、胃は胃液に耐えられません。 でも、ここからが大事なことですが、臓器が痛みを発していなくても、臓器を包む膜は痛みを発します。さらに臓器の外にある、皮膚に痛みを伝えることもあるのです。 たとえば、全身に同じように鍼をしても、どこの痛みも同じということはありません。 髪の毛より細い鍼が刺さって、「痛い!」と言う場所は、その皮膚の下に、なんらかの傷が隠れている場合が多いのです。 それが内蔵の痛みか、筋肉の痛みかまで特定できませんが、皮膚が発する通常の痛みではなく、「抜いた後もずっとひりひりする」「ピリピリする」「ずーんと響く」「重い」「普通じゃない痛さ」など様々なサインが出ます。 その痛みがあるうちは、なんらかの傷が身体の深部にあることが分かります。また、この痛みがリマインダーとなって、白血球たちの活動を呼び覚ますことで、治癒が活発になります。つまり古傷が体に残るのではなく、治っていくということです。 ■健康の経営コンサルタント 昔、私は転んでひざを擦りむいたことがあります。そのとき傷口が膿んでしまいました。 病院で毎日、無添加の石鹸を使って、膿の出る傷口をわしゃわしゃと洗われました。痛いです。毎日、毎日、膿が出なくなるまで、傷口が自然にふさがってくるまで、洗い続けます。これが最も早く治すための「基本的な工程」です。 白血球が傷口でばい菌と戦って、膿が出ます。その膿が出るうちに、傷を閉じたら、どうなると思いますか? 最悪ばい菌側が勝ち、「敗血症」という命に係わる状態になります。血が敗れたと書いて敗血症。東洋医学でよく「瘀血」ということを言いますが、つまり瘀血って「ミニ敗血症」のことです。全身に瘀血が回れば敗血症。という言い方もできます。 痛みは、痛み止めでも抑えられますが、故障・ケガ・破損は、「絶対に」一瞬では治りません。きれいに治りきるには、まず白血球がばい菌に勝つこと。勝ったら、次は戦いの跡地、死んだ細胞の残骸の「整地作業」があり、それも白血球の仕事です(貪食といいます) さらに完治には、跡地の復興・・・細胞の新生、細胞分裂を待たねばなりません。それには時間がかかります。スパッと切れた場合、まれにすぐくっつく場合もありますが、くっついたのは表面の皮膚だけで、中にはまだ傷が残っているのです。 このとき、一番悪いのは、ばい菌との戦いにまだ勝利していない、瘀血が溜まってる状態で、治癒がストップしてしまうこと。 これは、痛み止めの使い方を誤った場合、起こることです。 次に悪いのは、ばい菌との戦いには勝ったのに、整地が終了していない段階でやはり治癒がストップしてしまうこと。 これは、白血球の数が少ない場合や、新たにもっと優先順位の高い傷ができることで、治癒が途中で投げ出されることで起こります。 「古傷」「慢性痛」と呼ばれるのは、この状態です。傷ができたとき、きれいに治りきらなかったのです。 食事・睡眠・運動が健康の基本だと言いますが、白血球たちが元気に働くには、血球を作る材料を食事で十分供給(タンパク質)して、回復のための時間をとり(睡眠)、さらに血行が良くなるような運動が必要だという意味です。 そのために何が、どれくらいあなたに必要か。身体を治すのは血球たちですが、患者さんに、身体からのリクエストを伝えるのが、鍼灸師の役目の一つです。 治療だけでなく、身体から出ているサインを、あなたに伝えます。 ​鍼灸師が、健康の経営コンサルタントだと言う理由がつかめましたか? #治療とは何か #治るとはどういうことか #鍼灸にできること


■記事の改稿には「ことばのプロ」のご助力をいただきました。

唐鎌七美さん、ありがとうございます!

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