先日、noteにこんな面白い記事を見つけました。
今までいろいろ手を出してはみたものの、それらはちゃんと終わらせたのだろうか。大きいことでも小さい事でも、仕事でもプライベートでも、真面目なことでも遊びでも、ちゃんと終わらせてきた、結果を残したことが今までどれだけあっただろうか。この完遂力というものは侮れない。歳を取れば取るほど、この完遂力があるかないかで、両者に大きな解離が生まれてくる。(「一つ一つやり遂げる、完遂力」Dスタイル著)
つくづくそうだなぁと、納得することが書いてあります。
この「成し遂げる力」「完遂力」と、治療について書いてみようと思います。
【目次】
1) やり遂げたことは、自分にとってかけがえのない宝
2) 治療の中の完遂力
3) 治療に使えるスカウターがあったらいいのにな
4)蚊取り線香の法則
1) やり遂げたことは、自分にとってかけがえのない宝
note記事の中でも一番、グッと来た一文がこれ。
自分がどういう人間か説明する時、なんて説明するか。やり遂げた事があれば、自分はこれをやってきたと言えるだろう。何もかも途中で投げ出してきていたら、自分がどういう人か他人は理解できないし(それか何もかも中途半端な人と理解されるか)
自分自身がどういう人間か説明するとき。
名刺を作ったり、ホームページ(これもそのホームページの一部のブログですが)にプロフィールを載せたり、
仕事をしていると、自分自身について説明しなきゃいけない場面が多いです。
私のことなんか何も知らない方に、信頼していただけるよう、努力しなくてはなりませんが、その信頼のために必要なのは実績です。
他人へのPRという目的は置いといても、「これを成し遂げた」という実績は、自分自身の宝になります。
私は、日ごろから、あの世に持っていけるものは、金でも、地位でもない、思い出だけだろうと考えています。
昔の友人で、「あそこにも行った、ここにも行った」と海外渡航先の自慢をする子がいたんですが、その「思い出」というのは、行ったとかやったとか、自慢するためのものではなく、自分自身の深い満足感と結びついていなければ、意味がないなと感じていました。
その友人の話で印象に残ったのは、その旅行にいくために、友人がどれだけ頑張って、アルバイトをして、資金を貯めたかというエピソードのほうでした。
旅行先の話より、その話のほうが、言葉に感情がこもっていましたから。
2) 治療の中の完遂力
完遂力。
時間をかけて、準備して、苦難があっても投げ出さず、最後までやる。
これほど、思い出として価値のあるものはない、ひいては生きて生まれる意味とは、どれくらい完遂してきたか、のような気持ちすらします。
治療も、このやり遂げる力、完遂力がものを言います。
一回の治療で、奏功して、十分治ることはよくあります。
ギックリ腰でも、運動していての怪我でも、原因に関係なく。
治療した私が「いやおかしい。。。これくらいで治るはずない」と思っても、患者さんは「治った!治った!」と喜んでおられるので、私からは言うことはありません。
明らかにそういうのとは違う、一回のまぐれじゃ治らない疾患の方のほうが、鍼灸治療に来る方が多いです。
たとえば、アトピー性皮膚炎。たとえば冷え性。たとえば脊柱管狭窄症。
ご本人も覚悟して、受診してくださっている、そういった疾患は、スッと結果が出始める場合と、なかなかでない場合と、いったん効果が出たのに、苦戦し始める場合があります。
スッと結果が出始める
なかなか結果が伴わない
いったん効果が出たのに、悪化する
この3パターンのどれかです。
そして、
2.結果が出ない場合は、2’「なぜ結果が出ないのか」
3.いったん効果が出たのに、3’「再度悪化したのはなぜか?」
この2’と3’について、私たち治療家は、患者さんの完遂力をそがないためにも、しっかりと説明することが求められます。
3) 治療に使えるスカウターがあったらいいのにな
ドラゴンボールという漫画について、詳しい説明は不要かと思います。
その漫画の中に、スカウターというアイテムがあります。
これは、未知の敵の戦闘力を、主人公たちに教えてくれるもので、この数値を見ると、相手がとても敵わない敵か、それとも、自分より弱いかということが、一目で判断できるのです。
たとえばフリーザ様(←様付け)の戦闘力は53万です。
このスカウターで病気の重さを見ることができたらいいのにな、と思うことがあります。
病気でなくても、その人の体に溜まっている、老廃物の量や、コリかたや、筋肉量、消化力などを総合して、数値化してくれたら、
「あー、あなたの体は今、不具合5万ですね。当院の治療なら、一回の治療につき3000ずつ改善できますよ。安心してください」
と言えるのに。
スカウターがあれば、最初から、患者さんはゴールが見えているわけです。
たとえ、軽快しつつあったものが、いったん悪化したとしても、全体像さえわかっていれば、それは一時的なことだと分かります。治療回数は多少余分にかかるかもしれない。それでも治るとわかっていたら、安心して、投げ出さず、頑張り抜けます。
でも、現実には、そんなことはないです。
自分が、不具合5万なのか、53万!なのか、誰も言えません。
骨折なら、全治3か月とか、お医者さんが宣言してくれますが、「冷え性全治●か月」「杉の花粉症全治●年」「自律神経失調症全治●週間」なんて、聞いたこともありません。
そもそも不具合は、数値化できません。
全体像なんか、わかるわけもない。
それでも仮に、それを数値化するなら、年齢にある係数をかけるくらいではないでしょうか?
※大事※ 上の表は、私が適当に数値を入れたものです。(まったく根拠など、まったくございません)
たとえば、私なんかでいうと、現在45歳。
基準値 45,000…私が健康を心がけていても、溜まってるであろう不具合の量。年齢に仮に1000掛けた数値にしています。
(例1)
現在35歳、全然運動してない、睡眠時間5時間の人は、65,000ポイントの不具合。
(例2)
現在60歳、運動してない、生活リズム不規則、睡眠5時間で、BMIももりもりなら、1,653,000ポイントもの不具合を貯めこみ、軽くフリーザ様を凌駕しています。ヤバい。
例2のこの方が、当院で一回、1時間だけ治療を受けて、終わった後、スカウターで測ったら、数値が1,649,000に変わっていたとしたら、一回の治療で4,000ポイントの不具合がとれたといえます。
でも、そんなスカウターはありません。
もう一つ問題があります。
スカウターがあったとしても、60歳の時点で1,653,000ポイントの不具合があり、1回の治療で4,000ずつとれるとしても、そんなに治療を続けられるか?という話です。もし100万減らすことができて、65万になったとしても、35歳の例1の人の10倍の不具合です。
ワシは、治療なんか受けるより、好きなように生きて、遊びまくって、死んだ方がマシだー!
なんて話になりませんか?
治療に役立つはずのスカウターが、治療に向かう前向きな気持ちを、そいでしまって本末転倒です。
4)蚊取り線香の法則
それでも、スカウターがあったら、本当に便利でしょうね。
10代でガンになったり、難病にかかる方もいます。スカウターがあれば、そういう方の病気の原因がわかるかもしれません。
生まれた時からスカウターで数値を測っておけば、いつ、何がきっかけで、急激に不具合がたまったかわかります。原因がかなり絞れるはずですから。
それだけでなく、
スッと結果が出始める
なかなか結果が伴わない
いったん効果が出たのに、悪化する
この3パターンのうちの、
3.いったん良い結果が出ていたのに、3’「再度悪化したのはなぜか?」
治り始めて、順調に右肩下がりで治っていかず、なぜ悪化するのか?
私は、そこが一番知りたい。
数か月前まで来ていた患者さんで、指の痛みが主訴だったのですが、指の痛みが消えて、他の部分の治療が始まってしばらくしてから、指の痛みが復活してしまったことがありました。
指の痛みが再発してから、病院で検査しても、MRIで「骨のやせ」がわかっただけで、神経には異常なく、加齢のせい、というのがドクターの結論でした。
実は、指の痛みの、原因が不明でした。ご本人も他の部位はケガしたことなど、思いつく原因がありましたが、その指にはありませんでした。
他の故障個所も、捻挫したなどの既往歴がある部位もありましたが、既往歴がない部位も、既往歴があった部位と同じ異常が出ていました。
現代医学的には「原因不明」(加齢のせい)
一旦症状なり、痛みなりが治まったのに、時間がたつと戻ってくる…これを、ルート治療家界隈では、『蚊取り線香の法則』と呼びます。
おそらく、痛みや症状は、「表面」のことなのです。
不具合の堆積が、たまたま途切れた時、痛みや症状は、一時的に、一瞬、途切れることがある。
けれど、背後の堆積が現れてくると、また現れる。
現れ、消え、現れ、消え。いつしか本当に、不具合を出し切ったとき、解消する。
だからこそ、表面の変化と、真の状態を区別する目が必要(スカウターがあったらなぁぁぁぁああ)
じゃないと、表面的な変化が、目くらましになって、本当に治しきる(完遂力)ことができないんだと思います。
たぶんですが、これまで何かをやり遂げたことがある人の方が、病気の治療も得意なはずです。
一見困難に見えるもの
不可能そうなもの
大きすぎて全体像が見渡せないもの
現時点で先が読めないもの
そういったものに、立ち向かったことがある人は、病気に立ち向かうということが、どういうことか、体感としてよくわかっているはずです。
少々の困難にへこたれず、あきらめず。
思った通りにはならないが、やった通りにはなる。
進歩しなければ逆戻りもできません。すなわち、逆戻りとは、自分が進歩している証であり、成功に着実に近づいているからこそ、経験できる試練なのではないでしょうか。
牛だろうが、マンモスだろうが、食べるときは一口ずつです。
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PROFILE
山崎 美穂 やまさきみほ
鍼灸師(国家資格 はり師+きゅう師)
大阪の女性鍼灸師
子どもの頃、仕事と主婦業で忙しい母親を見て、「忙しくても通い続けられる治療院があったらな」と思ったのが、開院の動機です。
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