最近、当院の患者さんから面白いことを聞きました。
その方は、サプリメントとしてナイアシンを飲んでいただいているのですが、ナイアシンには、《ナイアシンフラッシュ》という副作用があります。
フラッシュというくらいですから、肌が赤くなったり、部分的にほてったり、かゆくなったりすることが起こります。
フラッシュを嫌う人が多いので、ナイアシンのサプリには、フラッシュが起こりにくい「フラッシュフリーナイアシン」や「ナイアシンアミド」というものもあるほどです。
この患者さんも、最初は、ナイアシンフラッシュを怖がっておられたのですが、最近、「ナイアシンを飲むと、あったかくなる」「冷えないから助かる」と喜んでおられるのです。
そういう算段があって、お勧めしたわけではなかったので、意外でしたが、どういう動機であっても、ナイアシンは不足しやすい栄養素。サプリを摂るようになっていただけて良かったです。
多少疲れにくくもなってきたそうで、私的にはホッと一安心。
ナイアシンとは?
ここで、ナイアシンとは、どんな栄養素なのかについて簡単にご紹介いたしますと、
水溶性のビタミンで、ビタミンB群の一つ。身体の中で起こる、500種類以上の化学反応の触媒…補酵素という働きをしています。
500以上の働きがあるので、その働きの一部だけピックアップすると、
エネルギー産生
DNAの修復や合成
糖質や脂質、タンパク質の代謝
ステロイドホルモンの合成
脳内ホルモンの素材になる
などなど。
ナイアシンは、トリプトファンというアミノ酸から合成することもできます。
しかし、トリプトファン自体が体にとって、「希少」品ということもあり、合成の手間もかかるので、できれば食べ物で摂りたい栄養素です。
脳内ホルモンの素材、ナイアシン
脳内ホルモンにおける、ナイアシンの重要性を簡単に解説します。
ナイアシンが必要になる脳内物質とは、セロトニン、ドーパミン、グルタミン酸。
セロトニンは幸福感、ドーパミンはワクワクする感情をつかさどり、グルタミン酸は記憶や学習に係る脳内ホルモンです。
さらに、セロトニンにマグネシウムが加わり、睡眠コントロールのメラトニンができ、ドーパミンにビタミンCが加わると、やる気・活力のみなもととなるノルアドレナリンができます。
グルタミン酸にビタミンB6が加わって、GABAというリラックスささえるホルモンです。
ナイアシンは6つもの脳内ホルモンに関係しているのです。
ナイアシン欠乏は命にかかわる
ここまでの説明でも、ナイアシンの必要性はお分かりいただけたかと思いますが、ナイアシンについては語りたいことがあり、それは健康にとってとても重要なことです。
ナイアシンが不足すると、ペラグラという命にもかかわる重大な病気になりやすいのです。
この病気は、トウモロコシを主食とする地域で、過去十万人も亡くなったという記録があります。
トウモロコシは、人類にとって非常に使い出のある穀物で、工業用にも使われますが、むしろ私たちの健康に関わるのは、家畜の飼料として使われることで、間接的に私たちの体内にかなりの量入ってきているということです。
家畜の餌にどういう関係が?と思われると思いますが、私たちの身体を分子レベルに分解し、そこに含まれるC(炭素・カーボン)を取り出したなら、その大半がトウモロコシ由来になるのだそうです。
私たちが思っているより、私たちはトウモロコシを過剰摂取しているのかもしれません。となれば、ナイアシンが代謝に使われ、慢性的に不足気味であるとも考えられます。
この部分は話半分に聞いていただくとしても、上記の脳内ホルモンで、ナイアシン不足ががメンタル疾患と関係が深いことは明瞭です。
それだけでなく、成人病(生活習慣病)とも、ナイアシン不足が関係しています。
ナイアシン不足が引き起こす現代病
ナイアシンは体内で500もの化学反応と関係していますが、そのうち一つ。
お酒を飲む人は、アセトアルデヒドの分解に補酵素としてナイアシンが関わっています。
お酒を飲む人に、生活習慣病が多い原因の一つがナイアシン不足かもしれないのです。
元来、ナイアシンは重要な栄養素だけに、色々な食材に含まれますが、特に魚、レバー、肉類に豊富です。しかし植物性のナイアシンというものもあります。
動物性か、植物性かで、ナイアシンはちょっと個性が出ます。
動物性ナイアシンは、「ニコチンアミド」といい、植物性ナイアシンは、「ニコチン酸」といいます。
そのニコチンアミドは、「一型糖尿病」の治療薬として使われ、ニコチン酸は「脂質異常症(高脂血症)」の治療薬として使われることがあるそうです。
この二つの疾患の患者さんが多いことから、ナイアシンは、現代人にとって、「現に不足している」栄養素の一つだといえるということが分かっていただけたでしょうか?
当院では患者さんにナイアシンのサプリをお勧めすることがあります
ナイアシンは、メンタルにも、冷え性にも、成人病の予防のためにも必須の栄養素。
普通にサプリメントが市販されており、お医者さんの処方なしで購入することができますが、
もちろん、すでに病院で何らかの病気と診断され、治療薬を出していただいている方は、過剰摂取の恐れがありますので、サプリメントも、医師の指示を仰いでからにしてください。
とはいえ、当院では、患者さんに、ナイアシンのサプリをお勧めすることが多いです。
メガビタミン療法で有名な、藤川先生のご著書で、ナイアシンを勧められていたことから、私自身が試し、またその後も本を読むなどして、この記事に書いたようなことを知り、自分でもナイアシンを飲んでみて、その効果を実感できたからです。
ごく個人的な体験に過ぎないものを、患者さんにまで勧めるのはけしからんとおっしゃる方もおられるでしょう。
しかし、鍼灸師として日々患者さんのお身体に接し、ナイアシンを摂っているか、摂っていないかで、治りに差がつくと感じています。
ですので、あくまで「私の」考えですが、ということを説明して、患者さんにサプリメントをお勧めする場合があります。
当院の鍼灸と栄養療法(メガビタミン療法)は、きっとあなたにとって、健康づくりの一番の味方になれると思います。
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PROFILE
山崎 美穂 やまさきみほ
鍼灸師(国家資格 はり師+きゅう師)
大阪の女性鍼灸師
子どもの頃、仕事と主婦業で忙しい母親を見て、「忙しくても通い続けられる治療院があったらな」と思ったのが、開院の動機です。
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