「もし高校野球の女子マネージャーがドラッカーの『マネジメント』を読んだら」
岩崎夏海 著
新潮文庫
私の中で、もしドラが、今、来てます。
読み終わって、すぐ読み直すくらいには!
ドラッカー…いいかもしんない。
この本の中で面白いなと思ったことが、2つあった。
1.ふてくされている野球部のエース
なんか、注意しにくい人っているじゃないですか。
この本の中では、監督の采配に不服で、ある試合以降、ふてくされているピッチャーのエピソードが出てきます。
部とか、集団の中で、「あきらかに雰囲気を悪くしている人」
対処、困りますよね~~~
(私は今、どんな組織にも所属していないので、「過去」困ったことがあったな~という過去話ですが)
この本の登場人物、ある意味Wヒロインともいえる、マネージャーの夕紀(ゆき)ちゃんのセリフを引用します。
「浅野くんは、まだ子供なんだと思う」夕紀は言った。「それは悪い意味でじゃなくてよ。彼は、子供のように無邪気で素直なんだと思う。だから、思ったことがそのまま態度に出ちゃうのね。それが、明るい話題だったら明るい人柄になるけど、いやな話題だといやな人柄になっちゃうのよ。彼がふてくされているのも、そうした気持ちがそのまま表れているからだと思うわ」
「なるほど」とみなみ(主人公。引用者注)はうなずいた。「確かにそうね」
「だから、彼がふてくされてても、周りは注意しにくいのね。それは、彼が周りを困らせてやろうといじけた気持ちでいるのではなく、本当に、単純に心からふてくされているということが分かるから、意見しづらいのよ」
作者は、仕事でAKB48にかかわっていて(そしておそらく、そこで「組織とは何か、ということーや、またそれを円滑に運営するためにはどうすればいいかということ」に悩んで、ドラッカーの『マネジメント』にたどり着いたようだ。
そして、2つ目。これも1つ目と係ることで、しかもこの本の根幹から連なる話。
2.野球部の顧客とはだれか?
ヒロインみなみが、『マネジメント』をひも解いて、最初につまづき、色んな人に知恵を求めた問題が、
「野球部とは、一体なんでしょう?」という定義だった。
そして、野球部とは何か?ということの本質には、「野球部の顧客とはだれか?」に応えなくてはたどり着けないことが分かった。
たとえば、鉄道会社だったら、「電車を運行して、人や物資を運ぶことを生業にしている企業」と、私たちはそう答えたくなる。
でも、ドラッカーによると、そういう分かりやすい答え、「ではない」らしい。
そこでみなみは困ってしまったのだが、しかしその悩みを人に相談する活動を通じて、彼女は思いもよらない答えにたどり着く。
企業の目的と使命を定義するとき、出発点は一つしかない。顧客である。顧客によって事業は定義される。事業は、社名や定款や設立趣意書によってではなく、顧客が財やサービスを購入することにより満足させようとする欲求によって定義される。顧客を満足させることこそ、企業の使命であり目的である。したがって「われわれの事業は何か」との問いは、企業を外部すなわち顧客と市場の観点から見て、初めて答えることができる(ドラッカー。引用者注)
野球部には、たくさんの顧客がいる。学校関係者や、全国の甲子園ファン、地域の関係者、生徒の父母、甲子園のスポンサー企業…
さらには野球部員や、部の監督は、野球部の従業員であると同時に、顧客である、そうみなみは定義づけた。
1ともかかわりがある話だが、部員がちゅうちょなく、部活をサボる、練習中にぺちゃくちゃおしゃべりをするという問題を、みなみは、同じ視座から解決していく。
こんな具合に。
みなみはそれ(部員がサボること。引用者注)を、単に規律がなかったり、部員たちの意識が低かったりするからだと思っていた。しかし『マネジメント』を読む中で、もっと根本的な問題があることに気づかされた。
それは、野球部の練習にはそもそも魅力がないーということだった。練習が面白くないから、部員たちはサボるのだ。『マネジメント』には、こうあった。
企業の第一の機能としてのマーケティングは、今日あまりにも多くの企業で行われていない。言葉だけに終わっている。
「消費者運動がこのことを示している。消費者運動が企業に要求しているものこそ、まさにマーケティングである。それは企業に対し、顧客の欲求、現実、価値からスタートせよと要求する。企業の目的は欲求の満足であると定義せよと要求する。収入の基盤を顧客への貢献に置けと要求する。マーケティングが長い間説かれてきたにもかかわらず、消費者運動が強力な大衆運動として出てきたということは、結局のところ、マーケティングが実践されてこなかったということである。消費者運動はマーケティングにとって恥である」(ドラッカー。引用者注)
野球部は、顧客を満足させられなかった。だから、部員たちはサボった(サボタージュ)
これは、「消費者運動」にあたる、と主人公は考えたのだった。
素直で、率直で、「強い」見方だなと思う。
主人公を、女子マネージャーに設定していなかったら、こんなイノベーションは生まれなかったと思う。
「単に規律がなかったり、部員たちの意識が低かったり」というのが、「並み」の考え方だから、その枠が頭にかっぽりハマり切った人間には出てこない発想だ。
私は、この本を、院の経営にも応用しようと考えている。
顧客の考えをもっと深く理解したい。
そして、私の野球部…鍼灸院をもっとよい企業に…したいんじゃなくて、「する」と決めている。
でも、「もしドラ」は、経営だけじゃなく、もっと幅広く応用がきくものみたいなので、経営とは関係なく、皆さんにお勧めです。
ぜひ、ご一読あれ。
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PROFILE
山崎 美穂 やまさきみほ
鍼灸師(国家資格 はり師+きゅう師)
大阪の女性鍼灸師
子どもの頃、仕事と主婦業で忙しい母親を見て、「忙しくても通い続けられる治療院があったらな」と思ったのが、開院の動機です。
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