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「そこ!」というコリを狙える 大阪の鍼灸院 

腕や手のトラブル

【目次】

何が体の酷使に当たるのか?

五労を知っておく

不自然な姿勢のキープが一番身体に悪い理由

手に特有な問題

筋肉の中を走る筋肉と血管

傷ついた神経や血管は大丈夫なの?

骨のキワの話

最後は血行


腕や手のトラブル
腕や手のトラブル


何が体の酷使に当たるのか?


腕は、とても立体的な形をしています。

背中側は肩甲骨、胸側は鎖骨まで含めて「腕」です。


バネ指や手の腱鞘炎など、手の疾患に苦しむ方が、どんどん増えています。


昔は「キーパンチャー病」なんていって、キーボードを打つ「専門職特有の病気」扱いでしたが、今どき仕事でパソコン作業をする人の方が多く、腱鞘炎、五十肩、バネ指などの手の疾患は国民病です。


またスマホも、同じく首肩から手を酷使します。スマホ首なんていう病名も出てきました。スマホ首については、こちらの記事をお読みください。



なぜパソコンや、スマホは、腕や手を傷めるのでしょう?


腕を傷めると言うと、酷使して傷めるというイメージがあると思いますが、酷使とは何でしょう?どういうことを酷使というのでしょうか?






五労を知っておく


運動で体を痛めるのと同じくらいかそれ以上に、同じ姿勢を長時間続けることが、身体を痛めつけます。


最近のスマートウォッチには、「長座注意」という機能があります。アップルウォッチのテレビコマーシャルでもやってましたね。髪の長い女性がオフィスで働いていて、突然椅子から立ち上がり、おいっちに、おいっちにとラジオ体操みたいな運動をする…という。


スマートウォッチのバイブレーション機能で、長座注意というアラームが出ます。あのCMでは「一時間座っていたので、10分運動しなさい」と、スマートウォッチから指示されたからなのです。




座り過ぎは身体にとても悪いのですが、東洋医学では、ずっとずっと昔から、そのことを指摘していました。


それが五労というものです。


久行(きゅうこう)・久視(きゅうし)・久坐(きゅうざ)・久臥(きゅうが)・久立(きゅうりつ)


と五つあります。




歩きすぎ、本の読みすぎ、座りすぎ、寝すぎ、立ちっぱなし


「五労」…東洋医学では、これらを避けなさいと言っています。




パソコン(スマホも)を使うとき、手をキーボードから微妙に浮かして、不自然な姿勢になります。また椅子の高さや硬さと、机の高さが合っていないと、これまた不自然な姿勢になります。


在宅ワークで、キッチンテーブルや、今のソファでパソコンを使っていた人は、何らかの不調で苦しんでいることが多いです。これまで腰痛を感じていなかった人が、急にギックリ腰を起こしたり。




いずれにしても同じ姿勢で長時間は、良い机・椅子を使っていたとしても、多少は無理になります。


スタンディングデスク(立った状態で使う机)と椅子を交互に利用するのもいいですし、居間とダイニングを行ったり来たりするのもいいですが、それすら、「同じ姿勢の継続」はNG。腰は傷めなくても、別のところを痛めます。


五労は、避けた方がいいのです。


あとやっぱりなるべく椅子机には、ちょっとばかり投資してくださいね。体に合ったものを使うだけで負担激減ですから。





不自然な姿勢のキープが一番身体に悪い理由


「何が身体を酷使することに当たるか」という話に戻りましょう。


それは、「癒着が進む」から良くないのです。




ゴムをイメージしてください。ゴム風船。緑とピンクの。

これを太陽光線が良く当たるところに放置したら、どうなりますかね?


数日後、見てみたら、緑とピンクのゴムが癒着して、剥がせなくなっていませんか?


癒着、溶けてくっつくことです。




これが私たちの身体の中で起こるのです。


私たちの身体の素材は、タンパク質です。


筋肉も、筋肉を包む膜も、血管や神経なんかの素材も、だいたいタンパク質。


そのタンパク質の特徴の一つが「熱変性」です。


同じ姿勢を続けている間にも、筋肉は仕事をしています。


楽々とできる姿勢は、力がそんなに入ってないように見えても、その実、筋肉は働いているのです。





たとえば「小さく前にならえ」の姿勢。


肩から腕をピンと伸ばす、「前にならえ」の姿勢より、ずっと楽で、頑張ってる意識はないですが、それは労働の多寡の差でしかありません。


歩くときは、ある筋肉は一瞬働いて、次の別の筋肉に仕事をバトンタッチして、一瞬ゆるみ、また働いて、休み、ということを繰り返しますが、


「前にならえ」でキープしている腕は、連続して小さな神経信号が、ピッピッピッピッと送られてきて、そのピッのたびに筋肉が収縮することで、同じ姿勢のキープが実現しています。


つまり、「歩く」というような「運動」以上に、動きのキープは、よっぽどしんどい運動なのです。




そして、筋肉が仕事をすれば、熱が生じます。


それが「癒着」を生む「熱源」なのです。


風船を太陽の熱が溶かしたように、筋肉は自分が生み出した熱で、溶かされ、癒着を生じている。


日々、そんな悪化(癒着)と治癒が、体に生じているのです。






手に特有の問題


手は複雑な構造をしています。


一番表面が皮膚。その下に脂肪。異なる働きをする薄い筋肉がいく層も折り重なり、一番深部には骨があります。


それは手も、腕も同じですし、もちろん足も脚もそうなっています。


大体体のどこの部分を切り取っても、ケバブ肉のように、皮膚や、脂肪や、筋肉どうしが折り重なった構造は共通していますが、手は中でも細い筋肉が多く、複雑な機構です。




さらに、手は痛みに過敏です。なにより、「筋肉が薄い」それがウエハースとかミルフィーユのように折り重なっている…と言うのが問題なのです。


筋肉の薄さが問題で、薄いから、2枚上に重なっているゴム膜から熱で溶けたゴムが2枚下のゴム膜まで巻き込んで癒着する…と言うことが起こるのが腕や手なのです。






筋肉の中を走る神経と血管


薄い筋肉のミルフィーユ上の断層には、イチゴやブルーベリー…ではなく、血管や神経が通っています。


筋肉の癒着は、血管と神経も巻き込みます。





中でも深部の骨に近いところにある筋肉。


皆さんに、痛い場所をお聞きするとき、「大体この辺が痛いんですが、ここ!と指でさすことができないんです。なんとなくこの辺一帯かな…というボヤっとした感じで…」


そういうお返事があったとき、


表面ではなく、深部の筋肉にトラブルが起こっていることを示しています。★★★★





「ココが痛い」と言える場合は「浅く」、「この辺全体に…」と言う場合は、「患部が深い」…つまり「こじれている」ということです。




実のところ、根っこが同じ問題であっても、初期は表皮近いところが痛く、こじれてくると、ぼわっと重痛く、そして痛みは深部に達します。


別に表面近いところは治ったわけではないので、そっちはそっちで悪いのですが、深部の方が悪化してくるので、意識がそっちに向かいます。


痛みはだいたい、同時に二か所感じることはなく、とくに表面と奥という場合は、奥の方の鈍い重だるさの方が辛く感じられることが多いです。




参考までにこういう場所を刺したときの感覚を、あらかじめお伝えしておきます。


まず切皮(鍼が最初に皮膚を破った瞬間)時点で、「痛ってぇええ!!」となります。


この痛さは、「ちっぽけな鍼で傷ついたとは思えないほど、極端に痛い」です。


鍼はまだ、皮膚を貫いただけで、患部である奥の筋肉にはまったく届いていません。





深部が痛い(悪い)ときも、皮膚に近い浅い部分の病変が病変の起点であった過去は変わりません。皮膚と皮膚に近い、浅い筋肉との間にも癒着があります。その癒着に刺さったときが、その異様な痛さが生じる場所です。


申し訳ありませんが、そこで痛いからと、鍼を止めても深部の病変には届いていません。




こういったときは、休憩をはさみながら治療をつづける場合もありますし、抜いて少し位置を変えて深部を狙うこともあります。目標は皮膚ではなく深部の筋肉です。ですが、一度にスパン!と鍼を刺して、深部に到達させた方がマシなことが多いです。


中に刺入していくと、しばらくは無痛で、患部に近づくほどに鈍痛、重い感じ、「響く」感じなどが出てきます。このとき、重く響く感覚が出るのはOKです。これはヒビキと呼ばれる特別な感覚で、指圧されたときに「ああ、そこそこ!」と痛気持ちいい感覚の増幅版です。


増幅版の場合、心地よさより、辛さを感じることもあります…


あと、「ザクザク」した強い痛さを感じる場合は、血管を傷つけているときです。血管も神経もなるべく刺さないように避けますが、残念ながら、全部は避けられません。


というのも、一つに、その血管は、癒着によってその場に圧着された血管だからです。


本来、血管には鍼は刺さりません。血管がするりと動いて逃げるからです。それなのに刺さる場合、その血管自体がコリにまみれて癒着の一部を形成してしまっているからです。


私は、その場合は抜いて刺しなおします。

できるだけ避けるべきことだからです。




じゃあ、神経を癒着が巻き込んでいる場合は?というと、神経はピリピリした痛さが特徴です。


血管はザクッ、神経はピリピリからビリビリ!(激)、ビリッ!(電撃)といった痛さが生じます。


また、そうやって癒着が生じている筋肉に刺入していくと、筋肉の勝手な収縮(不随意)が起こることがあります。




これがなぜ起こるかというと、脳から「収縮しろ」という電気信号が“過去”来ていたのですが、コリ(癒着)に妨げられて、収縮が妨げられいたところ、癒着が剥がれた瞬間に収縮が起こったのです。


ようは正常化です。




コリ(癒着)をとる目的は、癒着によってトラブっている血流、神経、筋肉などの「流れの正常化」


これを、昔の人は「気を通す」「気を整える」と総称していたと考えられます。




鍼治療をしていると、この流れの正常化を、劇的な形で感じることがあります。


腕でよく起こるその劇的な変化は、「患部側の耳が良く聞こえる感じ」「患部側の目が良く見える」といった変化です。


腕以外のところにも、腕に生じた癒着の影響があったのです。


昔の人が「気」と表現したのは、患部以外のところに、そういった不思議なことが波及したからかもしれませんね。患部からなにかが「飛んで行った」と感じたのかも。






傷ついた神経や血管は大丈夫なの?


鍼がコリのミルフィーユを通過するとき、神経や血管が傷つくことはあります。


だからこそ、「麻酔をしない」外科治療の価値と意味があるのです。




鍼治療をするとき、鍼灸師は患者さんの反応をじっと観察しています。


観察されているなぁと感じたら萎縮したり、遠慮したりする人もいますが、鍼灸師は「できるかぎり神経や血管の損傷は避けたい」と思っています。


とくに神経は血管、筋肉に比べて回復しにくいからです。




麻酔をかけて治療すると鍼が神経に当たっても気づくことができません。


患者さんに痛みの程度を聞きながら、「これは耐えられる痛さ」「たぶん耐えられない痛さ」「ここはちょっと痛いけど我慢した方が良さそうな痛さ」というのを、患者さん自身に判断していただきながら治療するほかありません。





骨のキワの話


そして、患部が骨のキワに近い最深部にあった場合、その筋肉を鍼で刺すとき、そこにあるコリは、普通のコリではありません。筋肉の癒着、筋膜の癒着、とかそういうレベルではないほど、水分が飛んだのか、柔らかさが減り(多分水気が減ってる)硬くなっています。


たとえるなら、「粘土」「化石」です。



ホルマリン漬けにした標本に似ていると感じることもあります。この場合は、かなり乾いた、一部はひんやりしているものもあり、総じて普通の筋肉より硬いという感じです。




こういったことは患者さん自身が感じるというより、刺している私が、鍼先で感じているという話です。




硬さから骨だと誤解させられるほど、筋肉が硬くなっているものもありますし、実際石灰になっているのかもしれません。


石灰化も、案外よくあることなのです。




ホルマリンタイプは、ほとんどその筋肉は死にかけているんじゃないかと思います。ちゃんと血が流れ、神経が通じているとは思えない感じがあるのです。


しかし、どのタイプも、最初は鍼が刺さる気がしなかったりするのですが、不思議と、鍼を押し付けて、しばらくするとほぐれ、鍼を受け入れてくれます。


こういったことを、患者さん自身は、まり感じないことが多いです。


ときには、「あー…そこです」とか、「そこだと思います」という言葉が聞けることもありますが、ほかと違う感じがしないこともあります。




身体の深部で、身体の主にも気づいてもらえず、窒息しかかっている筋肉には「粘土」を通り越して、「ラード」のような感触のものもあります。


鍼を刺すときも、抜くときも、「異様にねばる」のです。ネバネバしています。


硬くなったラード、硬くなったバター。冷蔵焼けして硬くなった肉、ホルマリン漬け…


どれもこれも、ただごとではありません。




このラードが背骨の近くに堆積していると、「神経根圧迫」といって、麻痺やしびれが生じることがあります。


ヘルニアだと誤解されることも多いように感じます。


私は「ラード」と呼んでいますが、掃骨療法の小橋先生は、「歯垢」「歯石」に似ていると言っていました。




硬すぎる歯石は鍼でガシガシと削り取るようにしますし、歯垢のようなドロドロも、ガシガシします。


いずれにしても、硬すぎる部分は柔らかく、削れるものは削り、血流を改善させ、神経を正常化させて治します。


特に血流は重要で、白血球の貪食作用で、壊れた細胞は食べてもらわなくてはなりません。








最後は血行


免疫力が大事と言いますが、血行がないところに免疫力は発揮できません


血の量が少ない人は血を増やさなくてはなりませんし、神経が通じてないところは、神経を正常化させなくてはです。




鍼灸治療はしばしばミラクルを引き起こします。


それは「たまたま鍼が神経や血管を圧迫していた巨石みたいなコリを砕いた」ときなど、まぐれ当たりのホールインワンがあり得るからです。(たくさん刺せば、なおさらその率は跳ね上がります)


しかし、本来の鍼灸治療はそういうものではありません。




重傷者は、神経や血管、筋肉そのものが弱っている人が多く、流れをせき止める石、何十個も河原に転がってる巨石を一つ一つハンマーで砕いていくような、気の遠くなるような作業です。


何十個もある巨石の一つが、たまたまハンマーがうまくあたって、綺麗に砕けたからと言って、他のも砕けるとは限りません。


麻酔をかけての外科手術が、ダイナマイトで爆破するような治療だとしたら、鍼灸はせいぜいトンカチです。




そのかわり、鍼灸治療は、治療回数を重ねるごとに、治療そのものに伴う痛みは軽減しますし、心地よさすら感じられるようになります。


何十回やっても、ずーっと痛い歯医者の歯石とりとは、そこが違うところです。


鍼灸治療で、痛いところが減って、鍼が心地よく感じられるようになり、自分の身体のことが深く理解できるようになってくるのは、身体をケアする人へのご褒美なのかなぁと思います。




腕や手のトラブルから、話が広がってしまいましたが、鍼灸は、どこを治療しても、基本同じです。


身体のほとんどの部位に応用が利くのは、これくらい大雑把で、原始的な治療だから。


身体の原理原則は、古代中国人が、鍼を発明した頃から、何一つ変わっていません。


鍼灸は、人が、自分の身体と、上手に付き合っていくための、最高の技の一つです。




仕事をしている限り、パソコンやスマホは避けて通れません。


コリは、瞬間瞬間に新しくできるので、治療しても、またそのうち溜まりますが、痛みを我慢している時間は短い方がいいです。


それに、でっかいコリは、耳や目や、ほかの部位にも波及するので、とっておくほうが正解ですから。


身体と仲良くしてください。





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PROFILE

山崎 美穂 やまさきみほ

鍼灸師(国家資格 はり師+きゅう師)


大阪の女性鍼灸師


子どもの頃、仕事と主婦業で忙しい母親を見て、「忙しくても通い続けられる治療院があったらな」と思ったのが、開院の動機です。


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発行者 はりきゅう和-nagomi- やまさき みほ 〒540-0004 大阪市中央区玉造2-16-18

メール 89nagomi@gmail.com

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