2022年7月4日7 分

アトピーの鍼治療

「できるだけステロイドを使いたくない」

その気持ちから、マクロビオティックなど栄養にも気を使った食事をして、甘いものを一切口にしなかったOさん。

アトピーだけでなく、「とても痩せている」というのが第一印象でした。

Oさんに最初にお目にかかったのは、私が講師をしていた栄養の勉強会のとき。刻家さんに集っていた参加者は誰もがOさんを見て、「きっとアトピーがお辛いに違いない」と感じていました。

けれど、Oさんの主訴はアトピーではなく、首肩のシンドサでした。

(え、アトピーじゃなく?)

実際にOさんの首肩を治療してみて分かったことは、アトピーは皮膚だけの問題なんかじゃないということでした。

写真の左側の写真は、2020年の年末に撮ったものです。

左右の写真を比べると、以前と今とで首の角度が変わっているということが分かるかと思います。

目で見える範囲でも色々な変化が見て取れるのですが、鍼を刺してみるともっと多くのことが分かります。

(1)アトピーのかゆみを引き起こしている物質は、身体の中を移動する。

治療を重ねると、これまでアトピーが出たことがなかった部位にも、アトピーがでたりしました。

具体的に言うと、体の上から下へ移動しました。

首の治療をしていたら、腕にアトピーが出たり、

これまで一度もアトピーが出たことがなかった、お尻にアトピーが出たりしました。

上から下へ、アトピーを引き起こしている何かが移動していると感じました。

(2)アトピーの重さとコリのサイズが比例する。

このコリというのは、皆さんが普段目にする、肩にあるカタマリ肉のようなコリではありません。

私が言うコリは、目で見えない、骨の表面にたっぷりついている、…雪とか桜島の火山灰のように「降り積もっている」と私は感じるのですが、骨の表面にびっちり積もった、「落雁(らくがん)」「粘土」「ラード」によく似た感触のものです。

これを触らずに、かゆみだけ問題にして、Oさんの辛さの一体何が分かるというのかと、後で反省しました。

私はずっとアトピーを、かゆみだけの問題だと思っていたのです。

これはまったく本質を理解していない、表面的な理解だったことが分かりました。

(3)アトピーは身体の深部に及んでいる。

鍼は、身体の中に入り込みます。

鍼を刺せばさすほど、皮膚なんかちっとも問題じゃない。皮膚にかゆみが出るのは、単なる結果だ、ということを思います。

アトピーは、皮膚の下の脂肪層や筋肉層、骨にトラブルが起こっていて、そっちが本体かもしれないのです。

Oさんが「シンドイ」といって、口ごもっていたのは、自分自身の体に何か普通じゃないことが起こっていることが、自分の身体のことだから分かるのだけど、見た目のトラブルがあまりにも目につくことから、本当の問題は身体の中にあるということをうまく伝えられなかったことにあったのではないかと思います。

体の中のことは、感じていても目に見えません。

なにか問題がある。でもそれが何なのか分からないから言葉にできないということ、それがOさんの悩みだったのです。

(4)アトピーは骨のトラブル?

「これは、シンドイはずだ」

後から昔のレントゲン写真が出てきて分かったことなのですが、Oさんは首の骨が思い切り曲がっていたのです。

なんというか、普通と逆についてるような。

自転車のハンドルのつけ方が逆になってるような…そんな骨なのです。

レントゲンを撮ったお医者さんは、事故に遭ったか、それとも先天的なものだと言っていたということですが、Oさんは事故に遭った覚えはないので、先天的な奇形なのではないかと言っていました。

しかし私は、「これって、もしかしてアトピーで骨が歪んだんじゃ…」と感じました。

そんなことが起こってもおかしくないほど、Oさんの筋肉が硬かったからです。

(5)アトピーで筋肉の質が変わる

前もちょっと書いたことがありますが、筋肉が「カツオというより鰹節」に変わったんじゃないかというような、普通と違う硬さなのです。

アトピーの方の出血は激しく、迸る(ほとばしる)という感じなのですが、出血はしても、水気は無くてパッサパサで、しかも硬いシーチキンのような。

筋肉と脂肪の「層」を感じない、ただひたすら硬い。

一番似ているのは「木の幹」です。

鍼はかろうじて刺さるのですが、固まりきった筋肉は、容易にほぐれてくれませんでした。

治療にこれまで二年半かかっていますが、そのほとんどが筋肉を柔らかく「もどす」ことにかかりました。

(6)ご本人が感じている変化

現時点でご本人が一番感じる変化は、とにかくシンドサが以前とはまるで違うということ。

以前は、仕事から帰宅すると、ホッとすると同時に異様なシンドサに苛まれていました。

今は、家に帰って疲れているけど、以前とは段違いに楽で、ときにシンドサを忘れるときもあるということです。

かゆみについても、家に帰ったら、激しく首や腕のつけねをさすりたくなっていたのですが、今はその程度が軽くなってきています。

あと、わたしが思うに、最初の年や二年目までは、「ゆり戻し」が多かったです。季節がわり、とくに冬から春に変わる頃は、花粉の影響もあるのか、揺り返しで激しいかゆさが戻ってきたり、かゆい部位が飛んだりしていました。

しかし、2022年の今年は、春先にかゆみが増すということもなく、少しずつですが、確実にかゆみもしんどさも減る方向に進む一方です。

(7)残る不安

残る不安は、一体何が、「かゆみの原因物質」を作り出しているか?

それが分からないことです。

せっかくコリをとって、コリが減って、それでかゆみを含んでいる細胞が新陳代謝して、出ていき…アトピーが治っていったとしても、

新たにかゆみを作り出す物質が、体の中でまた増えたら?

ということです。

Oさんは、これまでも栄養には十分気を使っておられました。それでも治らなかったアトピーです。

今は劇的に改善していってると言っても、これが本質的な解消なのか?

ただアトピー物質を含んだ細胞の新陳代謝で、マシになっただけなのか?それが分からないので、安心する気になれないのです。

Oさんの喜びに、水を差してしまってるだけかもしれませんが…

(私の性格が心配性なのです)

ともかく、肝心なのはこれから先です。

Oさんのアトピーが無事治ってくれるか?

あと首の骨の問題。

先天的なものなのか、それとも私の想像通りアトピーでゆがんだのか?

コリをとることで、ゆがみが解消するのかどうか?

● 現在の治療内容

1.鍼治療でコリをとる。

2.栄養療法

Oさんはマクロビをやっていて、どう見ても痩せすぎでした。甘いものも一切断っていて、ストイックな食生活を送っており、活力不足・筋肉不足は否めません。

鍼でコリを破壊し、出血もする。その分を補って、身体の再生を助けてもらうために、プロテインを摂っていただきました。

皮膚がかさつくので、油脂が必要と思い、油脂も摂っていただき、Nさんという方から勧められたココナッツオイルをとくに積極的に摂っておられます。

● 最後に

一つ気づいたことは、私がアトピーについて何も知らなかったこと。治療メソッドといったものから、治療のやり方を考えようとしなかったことが結果に繋がってきたなと思います。

皮膚を問題にして皮膚だけ何とかしようとしていたら、骨に問題があることに気が付かなかったと思います。

コリはどこにでもあります。筋肉にもできるし、筋膜の癒着としてのコリがメジャーですが、それだけじゃない。

決めつけて、思い込みで治療していたら、私はOさんの「シンドイ」という言葉を何一つ理解できなかったでしょう。

首の骨が先天的なのか、それとも私の仮説通りアトピーでゆがんでしまったのか?果たして治るのか?といったことは、これからです。

治療はまだまだこれからも続きます。

まだまだ私が見落としていること、理解できてないこともあると思いますが、虚心坦懐に治療と向かい合いたいと思います。

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お目をとめていただき、ありがとうございました。


PROFILE

山崎 美穂 やまさきみほ

鍼灸師(国家資格 はり師+きゅう師)

大阪の女性鍼灸師

子どもの頃、仕事と主婦業で忙しい母親を見て、「忙しくても通い続けられる治療院があったらな」と思ったのが、開院の動機です。

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