相性の見極めは…
- やまさき みほ
- 2025年12月18日
- 読了時間: 4分
現代医学でも、手の施しようがないと言われた患者さんが、奇跡的な回復をみせたり、逆に、「なんでたかが×××なんかで…」と言われるような軽い病気がこじれて重体になったり…なんてことがあります。
現代医学でもたまにあることですが、東洋医学では「より」相性が重要です。
私が昔患者として(鍼灸学校に進学する前)お世話になっていた鍼灸師の先生は、ギックリ腰を鍼一本で治す凄腕でしたが、かならず相性占いをしてから、受け入れる、受け入れないを決めていました。
先生の鍼灸院のある場所と、その人のお家の方位をみて、吉方向だったら効果を出せるので診る。凶方向だったら結果が出ないので診ない。
私は幸い、方位が良かったらしく診てもらえましたが、ある弁護士先生は家の方角は相性が悪くて診てもらえないところでした。幸い事務所と治療院は方角がよくて、事務所から通院するということで大目に見てもらえたみたいです。
「相性が悪いと結果が出ない。だから診ない」
なんて、お医者さんはいいたくても絶対言えないセリフですね💦

この話を聞くと、「鍼灸師ってのは、やっぱ非科学的だな」と思われたでしょうね。
でも相性って、本当に非科学的なのかなぁ…とも思うのです。
治療の相性の正体は、 案外もっと現実的なところにあるような気がするのです。
ひとつは、その先生を信じられるかどうか。
「好き・嫌い」は別として、人として信用できるか。
「悪い人じゃないとは思うけど、なんか信用できない」という私たちの直観ってバカにならないと思いません?
信用できない人に治療されても、治る気がしないというのもありますよね。
それは医者側、鍼灸師側も同じで、「なんか合わない」と感じる患者さんの治療には、なかなか本気になれないってこともあると思いませんか?
だから、「相性」、好き嫌いというのは馬鹿にならないと思うのです。
治療というのは、薬や鍼といった“物”だけで完結するものではなく、人と人とのあいだで起こる出来事です。
どんなに理屈が正しくても、どんなに方法が洗練されていても、その場にいる当人同士が噛み合わなければ、治療はうまく進みません。
「なんとなく合わない」
「理由は説明できないけど、しっくりこない」
そういう感覚は、非科学的どころか、むしろ私たちの身体が持っているとても原始的で、現実的なセンサーなのかもしれません。
治療で大切なのは、正解を当てることよりも、ちゃんと“通じる相手”と向き合えているかどうか。
相性を軽く見ると、治療そのものが、どこか空回りしてしまう。
だから東洋医学では、昔から「相性」を大事にしてきたのだろうな、と私は思うのです。
相性で治療を台無しにしないために、私自身が一番大切にしているのは、「選ばれる人間になること」よりも、減点されにくい人間でいることです。
特別なカリスマ性がなくてもいい。初対面で強烈な印象を残せなくてもいい。
それよりも、この人なら任せても大丈夫だ、この人なら嘘はつかないだろう、この人なら雑なことはしないだろう――そう思ってもらえる土台を、淡々と積み重ねることのほうが大事だと思っています。
良いことも、悪いことも、なるべく隠さずに伝えること。
清潔感や衛生面、掃除や片づけといった、誰にも褒められない地味な作業を、きちんと続けること。
そういう一つひとつが、「相性が悪くて結果が出ない」という事態を、静かに遠ざけてくれるのだと思うのです。
そしてこれは、治療家だけの話ではありません。
患者さんにも、治療を台無しにしないために、治療家に遠慮しすぎたり、「いい患者」を演じたりせず、本当のことを、ちゃんと話してほしいと思っています。
相性とは、相手を当てるゲームではなく、お互いが“通じる状態”をつくれるかどうか。
そのために必要なのは、占いよりも、理屈よりも、人としての誠実さなのかもしれません。



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