意外に思われるかもしれませんが、コリの正体について、医学的に「これ」だとはっきりしたことがわかっていません。グーグル検索すると、「コリの正体は、老廃物だ」「筋肉が生み出した乳酸だ」と書いてあるのですが、最近の説では、コリの正体は「筋膜の癒着」だとされています。
筋膜という言葉も、癒着という言葉も、もう一つしっくりこない言葉ですね。筋膜の前に、筋肉をイメージしてほしいのですが、皆さん、お料理する前の、トリのささ身は見たことがありますか?そのささ身を包む薄い、半透明…ちょっと濁った透明な膜が筋肉を包む膜の層がありますね。筋膜です。
私たちの体を作る材料は、タンパク質というものです。
この筋膜というのも、タンパク質で出来ています。
(1)癒着
筋膜について話を始める前に、上の文中に出てきた、「癒着」という、ありふれた、でもよくわからない言葉について、話しておきましょう。
今度はプラスチックをイメージしてもらえるでしょうか。
プラスチックは、火に近づけると、溶けます。溶けたプラスチックをまた別のプラスチックにペタッとくっつけてみましょう。
火から離れた二つのプラスチック、くっついてしまいますよね。
溶けて、くっつく。これが癒着です。
(2)筋膜
続いては、筋膜という言葉について。
トリのささ身。あれ、肉(筋肉)を、薄い膜が覆っているんですが、ご存じでしょうか?実物を見たことがあると話が早いのですが、見たことがなかったら、今度ささ身を買ってみてください。
学校の生物の授業で、筋肉は、筋線維という「線維」だと習いませんでしたか?
2種類の筋繊維だとか。繊維だとしたら…糸束のような状態だったら、すぐ絡み合って、訳が分からなくなっちゃいそうです。何本かまとめて、たとえばラップとかに包むと、糸同士が絡まなくて済みそうですよね。
実際筋肉もそういう風に作られていまして、筋繊維は適宜、小分けにされて、ラップのような膜で包まれているんですね。さらに、大きな筋繊維の束が、作用や付着場所の単位で束にしてまとめて…まとめて、で、上腕二頭筋とか、下腿三頭筋とか、そういった「名前の付いた筋肉」になっているわけです。
ラップは熱に強い加工がされていますが、人体の膜は、ただのタンパク質で、加熱には弱いです。すぐラップ同士くっついちゃいます。
筋肉に限らず、人体は、たくさんの膜で出来ています。皮膚も膜です。表皮の内側にも膜があり、真皮といいます。脂肪層があって…断熱材とか、充填剤のようなものですね…腹膜があって、その中に内臓がありますが、胃とか腸とかも、また膜です。内膜、外膜、中間膜…膜、膜、膜、膜、人体は、膜の重なりに例えられます。
アメーバなどの原生生物も膜構造と習いますが、人間は原生生物が複雑に進化したものです。
そして、膜がなんのためにあるかというと、膜で情報のやり取りをしたり、さっきの筋繊維みたいに、他の束と区別する役割だったり、束と束をある程度まとめていたりします。
膜での情報のやり取りというのは、血液や酸素、水分、栄養素、あと痛みとか、位置感覚とかも、膜でやり取りしている情報です。ホルモンなんかも、膜でやり取りされています。
実のところ、筋肉なんかただの繊維で、収縮するだけが仕事です。高度な感覚…痛覚なんかありません。筋肉が痛みを感じるんじゃなく、筋肉を包んでいる膜が感じるんです。
「筋肉痛」を感じているのは、筋肉じゃなく、筋膜なんです。それは、コリ感も同じです。
(3)私たちの体はタンパク質
私たちの体はタンパク質というもので出来ています。
骨も水もありますが、だいたい私たちの目に入るのは、タンパク質部分だけです。
そんな私たちの平均体温は36度強です。
新型コロナや、これから先の季節に流行るインフルエンザ、いずれも高熱が出ます。高熱が出るのは、体の中のばい菌を殺すためなのですが、でもあまりに熱が高いと、高すぎる熱をさげるため解熱剤を処方されます。
それは、高すぎる熱が、私たちの体をつくっているタンパク質を溶かしてしまうからなのです。
高熱を出さなくても、体の中では日々熱を生み出しています。
とくに筋肉は運動すると発熱するので、一部の筋肉だけ、高温になることがあるのです。ときに、タンパク質が溶ける温度を、瞬間的に上回ることがあります。
そしてコリができるのです。
筋肉ほど高熱を出さなくとも、内臓も神経も使い過ぎれば加熱します。繰り返されれば、癒着が起こります。
癒着は瞬間的に起こることもありますし、ゆっくり時間をかけて生じることもあり得ることです。
そして、最初に小さな芯のような硬い部分ができると、その芯を中心に次第に癒着が広がっていきます。負の連鎖とも言えます。
マッサージなどでは、その周辺を取り巻く癒着をとることは比較的たやすく行います。しかし芯の部分がどうしてもとれなかったりします。
また、身体の内側過ぎて、手で触れて確認することが不可能な場所もあり、芯のコリや、深部のコリは、鍼灸の独壇場となっているわけです。
※ アスリートが、頻繁に、筋肉をアイシングする理由を想像してみてください。筋肉に熱を持ちすぎると、良いことがありません。
※ 高熱を出し過ぎると、あれこれ大事な膜が癒着を起こします。あれこれの膜の中には、人間の生命に直結するものもあり、そのために亡くなる人もいるのです。
※ タンパク質を長期間、十分に摂れていないと、肌がくすんできます。目に見える表皮(皮膚)に影響が出る段階になると、当然他の「膜」にもトラブルが生じています。目に見える変化は「兆し」に過ぎず、恐ろしいことは見えないところに生じています。
(4)コリの原因は、タンパク質の熱変性(たぶん)
プラスチックの場合、冷えて固まると、無理やりひっぺがさないと、離れません。
では、筋膜と筋膜が張り付いてしまったら、どうやれば剥がせるでしょう?
コリ(筋膜の癒着)も、いったんくっついてしまったら、筋膜をもぎとらなくては、もとの状態に戻らないのでしょうか?
だとしたら、コリは永遠に治らない病気?
ってことになってしまいますが、そんなことはありません。
プラスチックとは違い、タンパク質は濡らすと、ほぐれます。冷凍したお肉も、解凍したら柔らかくなります。ただし、タンパク質の熱変性という現象が起こってしまった部位は、細胞を新生する必要があります。
ステーキを焼いたら、表面は黒くなります。色が変わるところまで変化してしまうと、その細胞は死んでます。死んだ細胞は生き返りません。これを、タンパク質の熱変性といいます。
熱で、もともとのタンパク質の性質が、変わってしまったわけです。
変性してしまった細胞を復活させるのは無理ですが、生きている細胞があれば、その周囲なら、細胞分裂によって、新しい細胞を再生させることができます。
ただし、そのためには、死んだ細胞を、きっかり取り除かなくてはなりません。そこに"炭のカタマリ"が居座っていたら、新しい細胞ができませんから。
つまり、「きれいにお掃除」「地ならし」してないと、うまいこと、再生できないのです。
半分死にかかった細胞が残っていたり、コゲがこびりついていたりすると、再生がうまくいきません。そういう半端な状態になっているところが、年齢を重ねた体には、あちこちにあります。言うならば、完治してない故障個所…つまり「コリ」となっています。
コリには色々な質感があります。
分厚いラップのような膜 …「風通しの悪い膜」と表現した鍼灸師もいますが、おそらく同じもので、妙につるりとした質感です。
石灰化…骨についていることが多いです。
線維化…筋線維が部分的に死んでいる状態。例えるならバイオリンの弓の毛に近い感じです。ある程度太い線維が線維化したものを、鍼灸師は「索状硬結」と呼び、とくに取れにくいコリとして嫌っています。
粘土・歯垢…粘土のような硬めの場合と、お粥か歯垢のようなやや柔らかめと、バリエーションがありますが、おそらく行き場を失った老廃物です。
瘀血…東洋医学用語で、汚れた血のことです。血管から一度漏出した血(毛細血管を除く)は、再び血管に戻ることはありません。何らかの理由で、血管から血が漏れていることがあります。歯槽膿漏なんかが典型ですが、身体から追い出さないと、きれいな血も汚染されます。
(5)鍼灸はどんなふうにコリをほぐすの?
上の(4)で、濡らすとタンパク質の癒着はほどけると書きましたが、体の中に、筋膜を濡らす水があるでしょうか?
いくらでもあります。
私たちの体は、水もたくさん含んでいます。一部がカラカラに乾いて、癒着したとしても、ぬらせばまた元通りなのですから、濡らせばいい。ちょっとした理由でカラカラになっているだけなのだから、逆も簡単です(死んでたら無理ですが、生きてるので)
コリが大きすぎると、コリの表面だけチャパチャパ濡らしたところで、芯が残ります。
問題は、コリの芯…コアを濡らすことです。
マッサージなんかで、皮膚の上からゴシゴシこすったところで、溶けるのはコリの表面だけ。「ちょっと手触り柔らかくなったかな?」というくらいにしかなりません。またすぐ硬くなってしまいます。
コリの芯に鍼があたると、瞬間、花が咲くように? 傘が開くように?コリがほぐれて、「ひらく」感覚を味わいます。
さらに、ここちよい「響き」という感覚が生まれ、その感覚が患者さんに伝わります。
つー…と自然に涙が流れる方もいます。
「そこです。そこがずっとしんどかったんです…」
硬かった氷が溶けて、体に春が来たような。
深く、押し殺して来た怒りが発露することもあります。
「●●のことが憎いんです…許せないんです!」といった言葉が、こみ上げてくる人もいます。
嗚咽する人もいるそうです。
コリと共に、古い記憶が封印されているのでしょうか?
正直不思議としか言いようのない現象です。
表面をいくらいらっても届かない深部にあるコリ。
その深部のコリに、麻酔なしだから(だから患者さん本人が「届いた」と確信できる)、安全にアタックできる。
これのが、鍼灸の圧倒的な強みで、他の治療法にはちょっと無理なのです。
できるとしたら、外科医ですが、麻酔使いますから、届いたところで、患者さん本人にそうとわかる感覚はないからです。
もちろん麻酔はすばらしいもので、間違いありません。
けれど、麻酔をかける外科治療のすばらしさは、患者さんと、こんな風に二人三脚できる鍼灸のすばらしさとは、また違った素晴らしさです。
(6)理屈は分かるけどさぁ…コリがほぐれる様子なんて目で見ることができる?
肩甲骨の上端なんか特徴的で、肩甲骨の位置が露骨に変わります。
圧縮されて、上の方に…たとえば窓のブラインドのように…折りたたまれていたのが、降りてきたような感じです。
あくまで皮膚の下で動くのが見えるというだけですが、うにゅにゅにゅ…と動く瞬間が目で見えます。
ピクっと筋肉が自発的に動く場合は、一瞬ですが、目で見えなくても患者さんご本人も感じます。
筋肉が大きく移動するのは、皮膚越しでも見えるので、患者さんにも同じものをご覧いただき、感動を共にしたいのですが、なかなか難しいです。
また、この現象、必ずしも治療中だけとは限りません。家に帰る途中で急に楽になった!とか、翌日の昼頃、ポーンと痛みが消えた!とか、そういうこともあります。
あと、科学の目を使えば、観察は可能です。
エコー(超音波機械)を使えば、なんぼでも確認することができます。
鍼を刺した瞬間に、筋膜が動く画像が見られます。
【ハイドロリリース】という技術があります。整形外科分野で最近使われるようになったものですが、エコーを使って、筋膜の癒着部分に生理食塩水を注入します。この治療は、外科医さんがやるので、麻酔を使いますが、必ずエコーで確認しながら行いますので、ようは、コリがほぐれるというのは、「ありふれた現象」「あたりまえのこと」なのです。
(7)コリには大中小がある
私はこの説「コリ=筋膜の癒着」という説が正しいと思っていますが、それでもまだ医学的にはコリの正体はこれだ!と確定しているわけではありません。
コリなんて、ありふれたものだし、とっくに正体がわかっているものだと思っている方がほとんどだと思いますが、私も鍼灸師になるまで、コリの正体がまだわかってないなんて、まさかと思いました。
今でこそ、コリの大半は癒着だと思っていますが、その理由はさっき書いた通り、コリをつついていると「ひらく」感覚があるからです。
「状況証拠」というやつです。
私も、コリを、肉眼で見たことはありません。つまり、皮膚をめくって(恐怖!)見たことはない、という意味です。(凝った状態の肩なら、毎日見てますが)
コリは首や肩にできるだけでなく、腰痛のときは腰に。ひざ痛のときはひざにできています。「コリ感」があるところだけではありません。もっと言えば、痛みやしびれも、どうやら、大きな意味での「コリ」に関係しているようなのです。
コリは、川を大きな岩がふさいでいるようなもの。
その岩があるかぎり、川の流れがはばまれます。
そんなコリは大雑把に3通り。
大きいコリ…内臓の動きを阻害する
中くらいのコリ…筋肉の動きを阻害する
小さいコリ…血管や神経の走行を阻害する
大きいコリ
腰辺りにあるコリ…背骨を支える筋と、腰を動かす筋肉の間、インナーマッスル(深い部分にある筋肉のこと)にできたコリは、内臓の動きを阻害します。腹圧に影響してしまうようです。内臓の健康にまで影響するので、割と深刻ですが、複雑な症状の原因になってそうという印象こそありますが、どこがどうかかわって問題を起こしているのか、実態はよくわかりません。これをとるのは大変です。
中くらいのコリ
肩周辺によくありますが、筋肉と筋肉を間で膜同士癒着して、正常な筋肉の走行をさまたげているようです。ほぐれると、筋肉が移動していくのが、頻繁にみられます。これくらいが、通常、鍼灸がターゲットにしているコリのレベル、コリのイメージです。沼とか、ガムとか、鍼を刺した時の印象はそんな感じです。
小さいコリ
サイズはそんなに大きくないですが、存在している場所が深すぎるので見えません。骨の表面とかにこびりついています。老廃物のカタマリ?神経痛の原因になりがちみたいです。鍼で刺した時の印象を、「キャラメリゼ」といった鍼灸師がいます。「落雁」「ラムネ」色んな種類があり書ききれません。
健康の基本は、血と神経が、健康に流れていることです。
とくに血の仕事は多岐にわたっています。
細胞を栄養する
細胞から老廃物を出す
細胞に酸素を渡して、二酸化炭素を受け取る
熱いところは熱を冷まし、冷えたところには熱を与える
コリは、血行も、神経の働きも、いずれも邪魔します。この二つさえ、ちゃんとしてたら、身体は健康でいられるのに、なんやかんやで邪魔するもの、その「通称」「俗称」がコリ、たぶん。そういうことです。
(8)コリがあると何が悪いの?
コリ感という重だるい感じは、体の中の流れが滞っているために起こるのです。
そして筋膜のような膜は、全身にあります。
というか、私ら、人間、万物の霊長とは申しますが、細胞レベルでは、ゾウリムシなど、原生生物というんでしょうか…いまだ、ただの「細胞」なのす。
その細胞を複雑に組み上げてできているのが、私たちの体です。
私たちの体の最深部には骨があります。
その骨にも膜がある。骨膜といいます。
筋膜にも、骨膜にも、感覚があります。神経が通っていますし、血液が流れます。
骨付きの唐揚げ食べたら、骨に赤いのがこびりついているでしょう?血液です。カルシウムのカタマリである骨も、どこかからどうにかして栄養をもらっています。
それが骨膜の仕事なのです。筋膜も同様です。
皆さん、骨がカルシウムのカタマリだということはご存じです。
骨そのものは、単なるカルシウム。
そして筋肉も、単なる筋繊維の束です。
私たちがコリ感(筋肉の緊張、筋肉由来の不快感を総称して仮にそう呼ぶとしたら)を感じるのは、筋肉に異常が起こっているからというより、筋膜に異常が起こって、筋膜が不快感を感じて、脳に伝えていると考えられます。
骨に、何らかの異常が起こったとき、それを脳に伝えるのは、骨膜です。骨膜で異常をモニターしていて、何かあったら脳に伝えている。
こういった膜の役割は、
命令に従って姿勢をキープすること
命令に従って動くこと
逆に、各部の感覚を脳や中枢に伝えること
だそうです。
掃骨療法という治療法が、鍼灸にあります。
文字通り、骨に鍼を当ててグリグリグリ…と、こそぐようにして掃除するという治療法です。これが、他の治療法では、なかなかとれない「シビレ」などに著効します。
実際にこの治療で狙っているのは、骨…というより、骨膜です。
私たちの体は、大きな意味では、膜の重なりです。
最深部に骨があり、骨の上に骨膜。その上に筋膜。筋膜に包まれた筋肉。また筋膜、筋肉、筋膜・・・・何層か重なって、その上に皮膚。皮膚もまた膜です。
そして、膜というのは薄い。
薄いがゆえに、シワができやすい、ヨレやすい、癒着しやすい。
膜が癒着する都度、何らかの不調、不快感が私たちの体に生じる。
そして、癒着の場所が悪かったり、癒着の規模が大きすぎたりすると…体は自分では、それをなんともできない。
白血球やらマクロファージなど免疫細胞だけでは、どうにもできない。
だから、鍼灸治療が必要になるのです。
(9)コリにはいくつか種類がある
この項目は、私の推測です。
骨にできる何らかのコリ、筋膜の癒着、そして、皮膚のすぐ下にできる癒着。
大雑把に、コリにはこの3つがあると考えています。
1)骨にできる何らかのコリ
これは、たぶん、「歯石」に近いものです。石灰化かもしれません。五十肩の原因になる奴です。
歯石と言えば、歯垢が硬く固まってしまったやつで、外からの攻撃を容易には受け付けないバリアのようなものでおおわれています。
そのバリアのために、白血球やらマクロファージやらの攻撃を受け付けません。
そういうものが骨にできていると推察しています。
鍼で実際にそのバリアを触った印象ですが、「硬いラップ」…サランラップが特別分厚くなった感じです。
これを鍼でグリグリやると、めちゃくちゃ痛いです。
が、とれてくると、キャラメリゼ…焦がしキャラメルの破片みたいな、ガチャガチャした破片?のようなものに変わります。ここまで砕いておくと、白血球などでも処理できそうです。
2)筋膜の癒着
これがどうも筋肉の位置が、深い場所にあるか、浅い場所にあるかで、患者さんの感覚も変わるみたいです。
コリは、もちろん、鍼か、外科手術でしか、いらうことができません。皮膚の下、体の中にあるから、直接触るれのは、鍼か手術だけです。
存在を、ご本人気づいていないことがあるのが、深部のコリです。
しかしある。
確実にある。
これがとれると、咳が出る人がいます。
別に肺に鍼が刺さったとかではないです。
腰にしか刺してない場合でも、咳き込む人がいます。
他にも色んなことがあるのですが、たぶん、深部の筋肉の場合、腹圧にも影響しているんだと思います。陰圧というやつです。
深部の筋肉と筋肉の癒着のために、色んな問題が起こっているようです。
冷え性、便秘などとも係るようです。
浅いところの筋膜の癒着は、単純にコリ感です。重い、鈍い感覚、不快な感覚として、患者さんが認知しやすいようです。そして、案外、浅いところの癒着の方が、痛みが激しいという特徴があります。
3)皮膚の下にある癒着
これが、痛みと直結しています。
整膚術というのがあります。皮膚と筋膜の癒着を、「手技」で剥がしていくもののようです。
私は、その技を知らずに、同じことをずっとやっていました。
一つには、ごく浅く鍼をする、しかも細い鍼をするという形で。
もう一つは、実際皮膚をこすったり、動かしたりすることで。
この皮膚のすぐ下くらいの、浅い層の癒着は、患者さん本人が感じる「強い痛み」と関連しています。浅いので、比較的、とるのは簡単です。ご本人やご家族にもとってもらえます。コツさえつかめば。
私は、この浅い層へのアプローチする、細い鍼を使った治療に、ミネット治療という名前をつけました。
技法としては、ルート治療の応用で、細い鍼を、浅く切皮程度で、多数刺します。
正直、大抵の痛みはこれでとれるという実感があります。
ただし、根治となると全く次元が違います。
「痛みがとれた」=「治った」という勘違いを生むという意味で、ミネット治療は罪作りな治療法です。
罪作りといったのは、これで生じる痛みは、割と簡単に取れるんだけど、再発も簡単だからです。
以上、私が鍼灸師として、実際に目にするコリの種類について、簡単に説明しました。
話し始めるときりがないのですが、こういう話ができる鍼灸師はあんまりいません。
深部に刺す鍼灸師も、太い鍼を刺す鍼灸師も、浅い鍼しか刺さない鍼灸師も、いっぱいいますが、骨膜も筋膜も、皮膚のすぐ下も、狙い分けて刺している人に、まだ会ったことがないので、ぜひ鍼灸師の方は、追試してご意見ください。
(10)病院でコリを治療できる?
先ほど【ハイドロリリース】について、簡単に説明しましたが、病院で、コリに生理食塩水を注射するという治療法があります。生理食塩水を注射すると、その筋膜の癒着がほぐれるのですが、それをエコーという超音波の機械で観察できます。(筋膜の癒着=コリ説から導き出された治療法です)
エコー画面でコリがほぐれる様子を見ながら治療できるので、安全だと言われています。
有効な治療法だと思います。
問題はまだまだ一般的になってはいないということです。あんまりこの治療をできる病院がないのです。
ところで、コリが筋膜の癒着だとしても、皆さんがコリをゴリゴリするのは逆効果です。
一瞬、スッとした気分にはなるかもしれませんが、コツを知らずに、ゴリゴリ、ゴリゴリ強く押したり、こすったりしても、癒着をほぐすどころか、癒着を強める結果にしかなりません。
肩が凝ってゴリゴリ押したくなったら、鍼灸を思い出してください。鍼を刺す、ただそれだけの単純な治療法ですが、効果抜群です。
鍼灸には数千年もの間、コリを相手にしてきた実績があります。鍼灸師は史上最もコリを重視し、コリに立ち向かうことを専門としてきました。鍼でコリをとることができなかったら、ここまで生き残っていません。
何より、薬と違って、未知の副作用はありません。
そして低コストです。
鍼灸の特性を知って、上手に利用してください。
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PROFILE
山崎 美穂 やまさきみほ
鍼灸師(国家資格 はり師+きゅう師)
大阪の女性鍼灸師
子どもの頃、仕事と主婦業で忙しい母親を見て、「忙しくても通い続けられる治療院があったらな」と思ったのが、開院の動機です。
詳しいプロフィールはこちら>
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