たとえば、神経痛は、痛風って言葉と同じくらい一般的で、誰でも聞いたことはある。
でも、私は痛風になった経験はないし、身近に痛風で苦しんでいる人もいないし、患者さんに痛風を相談されたこともないので、痛風という言葉を知ってはいても、「痛風になったカンジ」は分からない。
きっと、神経痛も、神経痛になったことがない人にはピンと来ないはず。
神経痛の人が最近多くない?
でも、今春は寒暖差がきついからか、梅雨前から雨が多かったからか、神経痛に苦しんでいる人をちょいちょい見かける。
かくいう私も、今年は神経痛に悩まされた一人。
もちろん私も、ほんの数年前まで神経痛の経験はなかった(今、痛風を知らないように)
だから、ある症状が起こりはじめたときも、この「カンジ」が神経痛なんだってピンと来なくて、気付くのにしばらくかかった。
ちょっと思ったんだけど、「病名」って不思議だ。
病名を聴いただけで、何か分かった気になれるのに、自分がかかったときは「まさか!」って思うんだから。
きっと新型コロナに初めてかかった人も、最初はただの風邪だと思い込もうとしたと思うし、癌になった人も「まさか自分が」と思っていたはず。
私の母はリウマチなんだけど、「リウマチっぽい」と思っても、最初は血液検査が否定的に出て、病名が決まるまでずいぶん時間がかかった。
うちの母みたいな話まで含めると、病名って、一般に思われているより「自明的」じゃないみたい。
ま、余談はこれくらいにして、今日は「神経痛」の話。
神経の種類の話
私たちの身体に「神経」と呼ぶものはいくつかあり、大きな区分では、
脳神経
脊髄神経
に大別される。
これは、「どこ」から、神経が出ているかという区別。
脳から出ているものと、脊髄から出ている神経とがあるってこと。
さらに、脊髄神経に3種類あって、
自律神経
運動神経
感覚神経
この三つは全然別の仕事をしていて、だから、この区別の仕方は、神経がやっている仕事の違いだ。
自律神経は、内臓の働きや、汗を出したりといったことをやっている神経。
運動神経は、筋肉を動かす神経。
感覚神経は、逆に身体の末端から中央(脳や脊髄のことを中枢っていうけど、真ん中、中心のこと)に教える神経だ。
運動神経は、中枢(脳・脊髄)側から、手足など末端に向かって指令を出して、
感覚神経は、その逆。末端から中枢に向かって指令を飛ばす。「右手の人差し指のササクレが痛いぞ!」とかね。
神経痛ってどういう病気?
神経痛の代表格は、
三叉神経痛
肋間神経痛
坐骨神経痛
三つある神経のうち、感覚神経。
感覚神経も、メジャーなところには、固有の名前があり、それが三叉神経だの肋間神経だのという名前のついた神経。
一番有名なのは、もちろん坐骨神経だと思う。
だれかにこれが降りかかると、しばらくその話題でもちきりになる。
昨日、行きつけのカフェに寄ろうとしたら、正午すぎていたのにシャッターが下りていて、
「店主、ギックリ腰のためしばらく休みます」
と書かれていた。この記事を書こうという決断を、後押ししてくれたみたいだった。
ギックリ腰と坐骨神経痛
ギックリ腰と坐骨神経痛の違いが、よく分からないと思う。
神経痛には、ある特徴がある。
1.特定の神経の通り道に痛みが生じる。
神経は枝分かれしている。大河の流れみたいに。
川上で大雨が降ると、支流全部に雨水が流れ込むけど、神経痛の場合も、その神経の支配領域の全域に影響する。
同じように大水が支流に流れ込むんだけど、特に川幅が狭いところとか、走行がうねうねしてるとことか、堤防が弱いところとかで災害になり、川幅が広いところは持ちこたえることができたりもする。
神経が傷んで起こる痛みとはいえ、かならずしも、広がった神経の、全部が同時に痛いというわけじゃない。
でも、まったく関係ないところが傷むわけでもない。やっぱりその神経の支配領域内に限定して、痛い。
2.傷み方は鋭い。
私はこの痛みを「電撃的」と感じるけど、「針で刺されたような」という表現をする人もいる。
鍼灸師的には不満。
神経には電気が流れているので、電気的な痛さだと表現する方が適切な気がする。
神経痛の痛さは、電撃みたいに一瞬だったり、続いても何分かで、持続時間は長くない。ただ、その電撃は一回じゃなく、繰り返し起こる。
「ビリッ!」と一回来て、しばらく余韻で苦しんで、忘れた頃にまた「ビリッ!」と来るカンジ。
3.神経痛予備軍
私によくあることなんだけど、冬の寒い時期とか、頬あたりの神経がダメージを受けていることがあって、「神経痛予備軍」みたいな状態…になっていたりする。
こういう時期、何気なく自分の頬を触ったとき、頬に「イヤな感じ」がする。「ピリピリ」「ひりひり」する感覚。
「これ、ほっとくとまずい気がするな…」なんて思うんだけど、昔はどうしていいか分からなかった。
今は鍼灸師だから、対処法が分かるけど。
神経痛は、2で書いた「電撃」…最初の電撃が起こる前とか、最初の電撃が来て、次の電撃が起こるまでの間とか、痛みが治まっている間も、「そこにいる」
帯電してる…っていうのかな。
電気が十分溜まったらスパークしてやるぞ、と病気が準備しているみたい。
あ、あれだ!足がしびれた時!
ちょっと治まったと思っても、誰かがイタズラで足の裏をつついたら、やっぱりシビレが来る。つまり、シビレは完全には治まってないんだ。
…やっぱり、帯電に近い気がする。
あと、痛みが起こりそうなとき、うっかり「くしゃみ」とかすると、ズキン!と来る。
神経痛を起こす原因
この春の神経痛は、本当にしんどくて、私は最初、左の耳の後ろが痛くて、それがようやく治ったと思ったら、今度は右の耳の後ろにズキン!と来た(実際は、移動したわけじゃないけど、左から右に移動したみたいに感じた)
後で原因を考えてみたけど、いくつか私自身が作り出した原因が思い当たる。
それは、
(1)最近「勉強」と称して、オーディブルで本を読んでいた。
歩いて通勤するようになって、片道40分もかかるものだから、時間を有効に使おうと考えた。
そのために、イヤホンも買ったけど、買ってから、「耳の疲れ」みたいなものを自覚するようになった。
イヤホンを買い替えたりもしてみたけど、ダメだった。
耳だって神経。聴覚神経という神経だから、神経がくたびれていた可能性がある。
(2)耳かき
私の悪い癖で、筆立てにいつも耳かきが入っている。
家も職場もだ。
そして、手持無沙汰のとき、耳かきをしてしまう。耳の違和感に弱いのだ。
それが耳の内側、内耳を傷つける行為妥当ことは分かっているが、なかなか止められない。
そして、耳の違和感が苦手なので、そんなことになっているのに、まだ耳かきがあきらめきれないのだ。
(3)もともと喉が弱い
耳の次は喉。私は喉が生まれつき弱い。
扁桃腺炎を何度も繰り返している。
耳と喉はとても近い場所にあり、お互いがお互いに影響することは多い。
耳をイヤホンと耳かきで傷めた後、私は今度はのどを傷めた。
内耳を傷つけてしまったことと、内耳におそらく細菌?とかが入って、喉にもダメージが来たことを悟った。
なぜなら、左の神経痛を起こす、数日前まで、私は喉痛に苦しんでいたからだ。
そして、最後に、左耳の後ろ側のところに、バン!と電撃が落ちたのだ。
この辺りには、「大後頭神経」というのがある。この神経の領域に、断続的に雷が落ちる数日間は、かなり辛かった。
どういう人が、どういう状況で神経痛になるのか?
私の実例は、ちょっとは参考になると思う。
神経痛は、中年から高齢者に多いのだが、誰でも、何歳でも、なる病気だ。
★ 神経に繰り返しダメージを与えて、疲れさせる。
中年期の神経は、長いこと使って、こき使っているので、いつでも準備OKだが、私のように、突然イヤホンを長時間使うような生活になったりすると、特に起こりやすい。
実はイヤホンによる、神経の圧迫も関係あったと思う。
神経はいかにしてダメージを受けるか?
神経は、実は単体では生きていけない。水がないと生きられないミドリムシとか、「藻」(も)的な、繊細な存在なのだ。
神経に必要なのは、血液(栄養と酸素)と、温かい筋肉というお布団。
冷えにはすこぶる弱い。適温じゃないとすぐ死ぬ。
神経も素材はタンパク質なので、タンパク質が慢性的に不足している人は、「きわめて」神経痛を起こしやすい。
三叉神経痛(一般の人は顔面神経痛って言ってる)
耳の後ろとか、後頭部は、肉が薄い場所だ。
筋肉という、神経にとって休まる場所が乏しい。
顔なんかも同様で、後頭部にはまだ「髪」という毛布がかかっているが、顔は毛も薄く、冷えやすい。
これで生じるのが「三叉神経痛」
通称、「顔面神経痛」(野暮だから解説はしない)だ。
これがもっとひどくなると、顔面麻痺ってのがある。
先ほども書いたが、三叉神経がそうなる前に、頬とか、三叉神経の支配領域の皮膚を触ると「ピリピリ」が起こっていることがある。神経痛の「前章」状態。
顔の筋肉は、「意外と」凝っている。顔の神経も、作り笑いで疲れ切ってたりする。
そこに、不意打ちの風が吹くと、「がくん!」と顔半分が落ちたような、顔面麻痺を起こす。特にドライブとかで、冷たい風を顔に当てまくった直後がヤバイ。←これは、私の鍼灸の師匠が、自分の体験談として教えてくれた話だ。
神経痛とでるか、麻痺と出るか。
それは、色んな要因で違ってくると思うが、どっちも神経を傷めつけた結果、「同根」の病気なのだ。
肋間神経痛
これは、咳をし過ぎたときに、心当たりがある。
大学受験の頃、マイコプラズマ肺炎になって、咳が出まくってたとき、肋骨が痛くなった。
肋骨当たりも、小さい、細かい筋肉はいっぱいあるんだけど、どっちかというと、筋肉が薄い場所だ。
肋間てとこは、呼吸のたびに膨らんだり、縮んだりして、休みなく働いて疲れている部位。そこにマイコプラズマの咳という、別の仕事が加わって、肋間神経は疲れ切っていた。
その後も、ケガやなんやで、私の肋骨は苦労を重ね、時々「肋骨折れた?」と思うような痛みを生じるようになった。
激しい電撃がろっ骨の脇ら辺に起こったり。
幸い、私、その頃は若かったので、すぐ治った気がしますが、「帯状疱疹」とか、「ウイルス感染」とか、狭心症など内臓の病気が原因で起こる肋間神経痛もあって、原因がハッキリしないとき(私みたいに咳とか)は、病院に行った方がいいかも。
坐骨神経痛
坐骨神経は、えらく太いこと、長いことで知られる神経で、神経痛の中では一番ありふれてるやつかも。
長いってことは、支配領域が広いってこと。
片側のお尻
太ももの裏
ふくらはぎ
かかとやくるぶし
どこに「ズキっ!」が襲い掛かるか分からない。
そして、太さが太いということは、電撃のデカさが、顔とかとは桁違いってこと。
顔にある細い神経とは、大根とごぼうくらい違う。
原因は、骨にある場合、筋肉にある場合、ヘルニア(椎間板ヘルニア)、腫瘍(←怖い)と様々。
太いだけに、逆に原因は特定しやすいかも?
ちゃんと病院で検査を受けた方が良いです。
あと、太いだけに、神経のダメージ補修にも時間がかかると思って、しっかり安静にすることも大事。
そもそも神経の修復は時間がかかるけど、サイズに比例するんで、中途半端にせず、きちんと治し切る意識が大事。古傷残ると、「繰り返」すのが神経痛。
神経痛にも二種類ある
ところで、神経痛にも種類がある。
症候性と突発性だ。
症候性や突発性は医学用語でよくある言葉。
突発性というのは、「原因がココと特定できないよ」とか、「原因はハッキリわからんけど」という意味だ。
症候性は、「ここが原因で起こってるタイプの」という意味。
たとえば、首にヘルニアがあって、ヘルニアが神経を靴のかかとで水道のホースを踏むみたいに踏んでたら、神経に痛みが発するよね?
これは、「症候性」原因がヘルニアと分かっているから。
突発性も、原因がない、と言ってるわけじゃなく、『検査しても「これ」っていう原因が特定できないんだよ、どこを解消したらいいか…』という弱気な感じ。
筋肉は…あんまり強そうには見えないけど、委縮してる…とまでは言えないなぁ…骨の変形とかヘルニアはなさそう…炎症はあるけど、なんかの感染とかでもなさそうだし…
みたいなね。
先にも書いた通り、心臓などの内臓疾患や、腫瘍とかでも神経痛は起こるから、大病が隠れてないか?と考えて、きちんと病院で検査を受けることをお勧めします!
神経痛の治療のこと
病院にもいろいろな治療法がありますが、一番大事なのは「安静」
一回故障しちゃってるわけで、補修するしかなく、補修するのは「薬」じゃなく、本人の「細胞分裂」だから。
栄養
タンパク質をしっかり摂る!
血液を作る!
ビタミン、ミネラル。特に鉄!
細胞分裂という意味では亜鉛!
痛みという意味ではマグネシウム!
1に休養。2に栄養。
これは、どんな病気も同じ!例外なしです。
「仕事休まずに治せませんか?」
ほっといても治るけど、きちんと治し切らないと、「古傷」が神経に残って、すっかり忘れた数年後にまた同じ症状、同じ場所に起こしかねないよ?
鍼灸治療
鍼灸は一番神経痛に合ってる治療法かも。
即効性という意味でも。
でも・・・鍼は痛いんだなぁ・・・早いんだけど。
お灸で温めるのは、痛くもないし気持ちいいです。温めれば細胞分裂も促されるでしょう。
あと、完全に古傷になってる神経痛の場合。
なかなか治療法がない神経痛は、一瞬の激痛は覚悟してもらわなきゃならないけど、鍼がベストだと私は思う。
鍼にしてもお灸にしても、よく効くし、症状も早く治まるけど、「神経の完治」ってのは、細胞分裂で壊れた部分が補われた時。
症状が消えたことを「治った」んだと、勘違いすると、また再燃する。
これは、消えたんじゃなくて、「痛みを解除」しただけだからね?
神経の再生には、時間がかかる。
「治し切る」のと、「痛みの解除」は別だということだけ、強調しておきたいです。
1位 安静
2位 栄養
3位 鍼灸
1位から3位まで、全部やった方がいい。
特に2を甘く見てる人が、ひじょ~~~に多い。
筋トレしても、タンパク質とってなかったら、筋肉つかないのと同じ!
体はある程度タンパク質は、古い細胞からリサイクルするけど、「リサイクルタンパク質」は、質が悪い!
治す気があるなら、絶対栄養はいる!
逆にいくらプロテイン飲んでようが、運動しない奴に筋肉はつかない!
治療は治療で必要!
寝てるだけで、治るのは、10代まで!!!
あなたの身体の治りにくさを、あまり甘く見ないでもらいたい。
※ 筋肉がつく、つかないは、「細胞分裂する、しない」のたとえです。
肌が濡れているのを放置するだけで神経痛は起こる
最後になってようやくタイトルの話なんですが、神経は冷えに弱いんですよ。
冷えと、あと湿気にも弱い。
自分で自分を温めたり、湿気を除去する機能が、そもそも神経にはついてねぇ。
なので、そういう機能は、筋肉におんぶにだっこ。
だから筋肉が薄いところの神経は、ダメージを受けやすいワケ。
神経がそもそも弱ってる高齢者(栄養状態もすこぶる悪し)は、風呂上がりに身体の拭き方が悪いだけで、神経痛を起こすことがあります。
「神経はもろい」もんだってことを、この記事通して伝えられたら本望です。
当院の鍼灸と栄養療法(メガビタミン療法)は、きっとあなたにとって、健康づくりの一番の味方になれると思います。
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栄養療法について、毎日記事を書いています。通知が多すぎるかもしれませんので、調整してください。ご予約や、質問、記事への感想も当院公式LINEにて承らせていただきます。
お目をとめていただき、ありがとうございました。
PROFILE
山崎 美穂 やまさきみほ
鍼灸師(国家資格 はり師+きゅう師)
大阪の女性鍼灸師
子どもの頃、仕事と主婦業で忙しい母親を見て、「忙しくても通い続けられる治療院があったらな」と思ったのが、開院の動機です。
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